ダブルスの主導権を握りたい順平は、自らに地獄の特訓を課した。
苦しみの中、少しずつ上達の手応えをつかみ始める。
しかし、そんな順平に前衛マエストロ元木は・・・
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ダブルスの主導権を握りたい順平は、自らに地獄の特訓を課した。
苦しみの中、少しずつ上達の手応えをつかみ始める。
しかし、そんな順平に前衛マエストロ元木は・・・
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コートの上をのたうち回る順平。
500本の連続ノックに挑んだのだが、400本を目前にダウンしてしまった。
自分の持ち味であるダッシュ力をもっと活かせないか。
もっと速いタッチで、もっと上から打つ回数を増やせれば、ゲームの主導権が握れるはずだ。
そう考えての特訓だったが、予想以上にキツイ。
(このままでは体がもたないぞ・・・いやいや、限界まで追い詰められて得られるものもあるはずだ!)
心にわき上がる弱音を必死に押し殺す。
しばらくして、こむら返りの治まった順平は、チームメイトの制止を聞かずコートに入っていった。
先ほどの続きをやろうというのだ。
(もっと速く、もっと前で、もっと上から・・・)
少し休んだせいか、ノックは調子よく進む。
気のせいかもしれないけれど、足がついてきている気がする。
順平は、上達の喜びに胸を踊らせた。
そんな時だった。
「おい順平、何一人でコートを占領してるんだよ!」
野太い声が体育館に響き渡った。
チームが誇る前衛マエストロ元木である。
彼は、眉間にシワを寄せて順平に詰め寄った。
「コートを占領して迷惑かけた挙句、毒にも薬にもならない練習をしやがって!!」
「いや元木さん。コート占領したのは謝りますけど、毒にも薬にもならないってことはないでしょう!!」
うまくなりたいという自分の気持ちを理解して欲しい順平は、必死に訴えた。
しかし元木は聞く耳を持たない。
「ムダなことをムダだって言って何が悪いんだよ!コートに入れ。お前に足りないものを教えてやる!!」
そう言ってラケットを取り出した元木。
どうやら、ゲームをするつもりのようだ。
「本番のダブルスで前衛をやってると思ってかかってきな!!」
そんなセリフで始まったミニゲーム。
そのきわどいコースへの配球に、四苦八苦する順平。
これでは速いタッチで上から打つどころの話ではない。
床スレスレのシャトルを拾うので精一杯である。
しばらくして、順平はあることに気がついた。
また数本打っただけなのに、先ほどまでと比べ物にならない負担が足腰にかかっている。
(床スレスレのシャトルを拾うのって、こんなにしんどいのか・・・)
ビキッ
収まっていたこむら返りが再発してしまった。
再びコートをのたうち回る順平。
それを見下ろしながら、元木は言った。
「わかったか?お前に足りないものが。」
「・・・」
「上からのショットも結構だけどな。バドミントンはそれだけじゃ乗り切れないってことをよーく覚えておけ。」
ポイント
攻撃的なダブルスペアを相手にするために大切な練習。
それは、「床に近い位置のシャトルを打つ練習」です。
基本的にバドミントンは、上からシャトルを打つほうが強い球を打てるため、今回の順平くんのように上からシャトルを打つ練習を多くやることが多いもの。
しかしここに大きな落とし穴があります。
攻められている時は、ネット前はもちろん、サイドやエンドなど、至る所で床スレスレのシャトルを拾わなければなりません。
元木も指摘する通り、下から打つ練習をしていないと、攻撃的な相手に追い込まれたときにどうしようもなくなってしまうのです。
普段のラリーではなかなか意識できませんが、床付近のシャトルを拾うには、膝のクッションと、ラケットを持つ手の側の腰を入れ込みが必要不可欠。
足腰の体力と、フォームの釣り合いがとれていなければ、決してうまくいきません。
そしてこれは「方法を知るだけ」、「コツをつかめむだけ」で今日からできるというものではありません。
できるようになるまでそれなりの時間がかかりますから、今すぐ取り組むようにしましょう。
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