ある日の地域交流バドミントン大会での一幕。
男子ダブルスで出場した順平は、相手ペアのレシーブ力に攻撃を封じられてしまう。
思うように進まないゲームに、次第にいらだちがつのる。
そんな順平にペアを組んでいた大垣は・・・
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ある日の地域交流バドミントン大会での一幕。
男子ダブルスで出場した順平は、相手ペアのレシーブ力に攻撃を封じられてしまう。
思うように進まないゲームに、次第にいらだちがつのる。
そんな順平にペアを組んでいた大垣は・・・
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順平渾身のスマッシュが相手コートに飛ぶ。
100%の力を込めたベストショットのはずだった。
しかし、相手は難なくそれを返してきた。
体勢を崩していた順平は、何でもない棒球を落としてしまった。
地域の交流大会でこんな強敵と当たるなんて。
まだ初戦だというのに、かなりの体力を消耗してしまい、1セット目を落としてしまった。
「いや~、しょっぱなから強い相手とぶつかっちゃったね。」
インターバルにこう話を切り出したのは、今回順平のパートナーを務める後衛のスペシャリスト大垣。
まるで人ごとのようにひょうひょうとしている。
「大垣さん。僕ら1敗してるんですよ。よくそんなのん気でいられますね。」
「まあ3セット【先取】した【選手】が勝つのがバドミントンだし、これからだよ。」
「・・・くっだらねぇ。」
普段なら聞き流す大垣のダジャレが、今日はとても耳障りに聞こえる。
順平の焦りが伝わったのだろうか。
大垣がニヤけた表情を引き締めた。
「順平ちゃん。少し冷静になれよ。さっきから空回りしてるじゃないか。」
「僕は冷静ですよ!次はもっと強いショットで引導を渡してやります。」
スポーツドリンクをグイッと飲み干した大垣は、
「ほら、それが冷静じゃないっていうんだよ。ダブルスでは強いショットより速いショットを打たなきゃ。」
「だから強くて速いショットであの忌々しいレシーブを打ち崩してやるって言ってるじゃないですか!!」
大垣はすっくと立ち上がった。
インターバルが終わるまでにはもう少し時間がある。
「あのねえ。僕が話しているのはバドミントンに必要な、本当のスピードの話だよ。」
「バドミントンに必要な、本当の・・・スピード?」
「球の速さなんてバドミントンのスピードのほんの1つ。ダブルスを勝ち進むつもりならもっと上のレベルの速さを追求しなくちゃね。」
ポイント
私たちは、レシーブ力のある相手にぶつかった時、少しでも速い球・強い球を打とうと考えがちです。
しかし、「速いスマッシュが上級者に通用しない理由」でもお話した通り、球威だけのバドミントンが通用するのは、経験が浅く読みの甘い相手だけ。
実力のある相手には、大きく振りかぶり、腕を大きく引いた速い球を打つためのスイングはむしろ不利。
わかりやすいものだけでも、これだけのデメリットがあります。
■ 1- 大きくラケットを引いている間にシャトルを懐に呼び込んでしまい、打点が低く・後ろになってしまう。
■ 2- 大振りしようとするので、力んでしまい、ミスしやすくなってしまう。
■ 3- 速い球が打ててもフォームが大きいので、むしろ相手にしっかり対応される時間を与えてしまう。
これから中級者や上級者を相手にダブルスで勝ち抜いていくためには、球速以外のスピードを上げていかなくていけません。
バドミントンダブルスで球速以上に大切なもの、それは「タッチのスピード」です。
タッチのスピードというと、打点を高くできるメリットばかりに目が行きますが、そんな単純なことではありません。
その一番のメリットは、「相手の球をより速く返すことで、相手から対応する時間を奪えること」です。
また、シャトルの軌道やコース、スピードが変化を起こす前に対応できるので、ミスを減らすことにもつながります。
自分たちが優位なゲームの中でタッチのスピードに意識を持てる人はいます。
しかし、今回のストーリーのように不利な時に実践できる人はほとんどいません。
思うようにゲームが進まない時にこそ、意識するようにしましょう。
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