この数年、女子バレー日本代表がめざましい活躍を遂げている。
2010年の世界選手権大会では、同大会32年ぶりのメダル(銅メダル)を獲得。
さらに2012年に開催されたロンドンオリンピックでも、オリンピックでは28年ぶりのメダル(こちらも銅メダル)を獲得している。
世界の強豪たちに、体格でも身体能力でも大きく劣る日本人が、なぜ互角以上に渡り合えるのか。
それは、彼女たちを率いる眞鍋監督によるところが大きい。
彼は言う。
「僕は現役時代もパッとしなかったし、監督としてのカリスマ性や指導力に優れているわけでもない。
だから、徹底的にデータによるバレーボールをすることにしたんです。」
世界選手権での彼は、データ端末としてiPadを片時も手放さず指揮を執っていた。
ロンドンオリンピックに至っては、データ収集スタッフは毎日ほぼ徹夜だったという。
まさに頭を使ったバレーの勝利である。
これまでずっと低迷を続けてきた日本女子バレー。
そこに勝利への道筋をつくった眞鍋監督の功績は確かに素晴らしい。
しかし、それまでの監督たちがデータをないがしろにしてきたかといえば、そんなことはないだろう。
力で劣る以上、頭で勝負するしかないのは自明の理。
真鍋監督と同じか、それ以上に労力をかけていたはずだ。
ではなぜ真鍋監督だけが結果を出せるのか。
理由は簡単。
問題に対して徹底的に、ありとあらゆることをしたからだ。
以前のデータバレーでは、監督は紙に印刷されたデータを、各セットの合間に受け取り、作戦を立てていた。
しかしそれでは、そのセットのデータを反映できるのは次のセットから。
刻々と変わる戦況に対応するためには、これでは遅すぎる。
そこで彼はiPadを使い、データ収集スタッフがパソコンに入力したデータを、リアルタイムに受け取る仕組みをつくった。
バレーボールにiPadが使用されたのは、公式試合では世界初。
また、パソコン上の分析データをiPadで見るためのソフトは、真鍋監督の要望により開発された特注品だ。
この仕組みが機能するまでには、ソフトの機能向上やデータ収集スタッフとの連携など、並々ならぬ苦労があったという。
ここまでやるから、全日本女子は勝てるのだ。
「自分に足りない部分はわかっている。」
「だから自分なりにできることはやっている。」
というバドミントンプレーヤーは多い。
しかし、真鍋監督と同じくらい徹底的に、問題が解決に全力を尽くしている人はどれだけいるだろう。
「できることを精一杯やるバドミントン」では今以上には決してなれない。
より上に向かうのなら、やることは一つしかない。
そう、今以上のことをやることだ。
■ 今日の格言 「知的なプレーヤーは女子バレーファン」