強い相手と戦うことが増えるにつれ、ダブルスの前衛に対する考え方が変わってきた順平。
点の取れる前衛になるために、今自分に何ができるのかを真剣に考える。
そんな順平が出した答えに、前衛マエストロこと元木は・・・
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強い相手と戦うことが増えるにつれ、ダブルスの前衛に対する考え方が変わってきた順平。
点の取れる前衛になるために、今自分に何ができるのかを真剣に考える。
そんな順平が出した答えに、前衛マエストロこと元木は・・・
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しかし最近は、バドミントンに対する取り組み方が少し変わってきた。
ゲーム練習の合間など、少し時間が空くと人のプレーを見るようになったのだ。
ダブルスで自分より強いプレーヤーを相手にすることが増えるにつれ、身体能力だけでは限界があることを悟った。
特に前衛の場合、至近距離から速い球を打たれるので、打たれてから対応していては間に合わない。
ある程度は飛んでくるコースにヤマを張り、狙い球を絞らなければ、結局どの球に対しても中途半端になってしまう。
(問題はストレートとクロス、どちらを重視するかということだ・・・)
物思いにふける順平。
何人かの先輩に聞いた話をまとめると、結局は自分が打ちやすい球に絞れば良いという結論になる。
本当にそれで良いのだろうか。
そんな疑問がぬぐいきれない。
しかし、いくら考えても決定的な答えは出そうにない。
そんなある日のゲーム練習でのこと。
順平は、我がチームが誇る前衛マエストロ元木が後輩を指導しているのを見つけた。
「いいか?ダブルスの前衛は相手が打ってから対応していては間に合わない。ヤマを張ることが大切だ。」
順平の耳がピクピクッと動いた。
まさに自分が今直面している課題そのものではないか。
元木と後輩のやりとりは続く。
「なるほど。で、元木先輩。クロスとストレート、どっちをメインに守ったら良いんですか?」
きたーーーー!!!
順平は、練習そっちのけで話に聞き入った。
そして元木の口から出たのは・・・
「そりゃクロスに決まってるだろ。ダブルスの常識さ。」
え?決まってるの!?
驚いた順平は、思わず2人の会話に割り込んだ。
「ちょっと元木さん、それ、どういうことですか?前衛はクロス待ちなんですか?」
「何だ順平、びっくりさせるなよ。」
「それより教えてください。どうしてクロス待ちなんですか?
ストレートに意識を持った方がプッシュ打ちやすいじゃないですか?」
まくし立てる順平。
元木はその頭を2,3度なでて言った。
「お前は自分のことばっかりだなぁ。前衛の仕事はプッシュを打つことか?ゲームの流れを優位にすることだろ?」
ポイント
ストーリーでも出たように、バドミントンダブルスの前衛は、至近距離から高速で飛んでくるシャトルに対応しなくてはいけません。
そこで、ある程度のヤマを張り、その他の球については後衛に任せることが多くなります。
さて、このとき前衛が意識を置くべきはストレートとクロス、どちらでしょうか。
順平君の言うとおり、ストレートを狙い撃ちできるようにした方が、プッシュでの攻撃がしやすいように思えます。
しかし、これはダブルスの前衛としては、独りよがりで視野の狭い考え方と言わざるを得ません。
では逆に、前衛がクロスのブロックに意識を向けるとどうなるか。
まずコンビを組むパートナーとの兼ね合いの観点から考えてみましょう。
前衛がクロスのブロックをメインにすると、後衛に抜ける球はストレートが多くなります。
ということは、後衛はあまり移動せずに対応できますから、足を止めて整った体勢で強いショットが打てます。
それが、後衛がのびのびと強打を打てる、主導権の取りやすい攻撃的なゲームにつながるわけです。
また、前衛がクロスを中心に待つメリットは、これだけではありません。
対戦する相手の視点から考えてみましょう。
一般的に前衛のブロックを抜く方法は、高い球で上を抜くか、クロスで左右を抜くか2つに1つ。
そして、高い山なりのボールは滞空時間が長く狙われやすいので、できることなら左右を抜きたいと思うものです。
しかし、こちらがその左右を徹底マークすれば、相手は思い通りにいかないプレッシャーを与えられます。
またその結果、たとえクロスで抜かれてしまっても、思い切って打たれることを抑制できるのです。
前衛のクロス待ちは、確かに自分がプッシュを決められるシーンを減らすかもしれません。
しかし、結果的には全体の流れを良い方向へ向けるという、前衛としての大切や役割を果たすことができるのです。
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