ある日の市民ダブルス大会、調子よく第1セットを取った順平ペア。
だが、第2セットに入るととたんに雲行きが怪しくなってきた。
セットカウント1対1で迎える最終セットで、前衛マエストロ元木は・・・
スポンサード リンク
ある日の市民ダブルス大会、調子よく第1セットを取った順平ペア。
だが、第2セットに入るととたんに雲行きが怪しくなってきた。
セットカウント1対1で迎える最終セットで、前衛マエストロ元木は・・・
スポンサード リンク
市民ダブルス大会の2回戦で、第2セットを落とし引上げてくる順平。
第1セットを楽に取っていただけに、この逆転負けは痛い。
第3セットを前に、つかの間の作戦会議に入る順平ペア。
運命の最終決戦を前に、インターバルはあっという間に終わった。
「ここは一気に攻めましょう!」
そして始まった第3セット。
順平たちは、ここまで温存していた切り札を使うことにした。
2人の機動力をフルに使ったオールコートでのバドミントンだ。
それまでのコンパクトなゲームから、大きく変わった展開に対応しきれない相手ペア。
2点のリードを守り前半戦を終えることができた。
上機嫌でコートを出る順平たち。
我がチームが誇る前衛マエストロ元木も、笑顔で迎えてくれた。
「ここまではうまくいったな。」
目の前の勝利に、テンションを上げる順平。
やがて、インターバルの終了が告げられる。
「はい。後半もこの調子でガンガン行きますよ!」
そういって、コートに戻る順平たち。
「あっ、ちょっと待て!!」
元木がそう言ったような気がしたが、興奮している順平ペアの耳には届かなかった。
第3セットが終わり、コートには逆転負けに呆然と立ち尽くす順平たちの姿があった。
調子は悪くないはずだった。
それどころか良かったはずだ。
しかし、順平たちのプレーに慣れた相手の着実な反撃に失点を重ね、気がつけば負けていた。
期待が大きかっただけに、敗戦の痛みも大きい。
コートを出る足取りが重い。
そんな彼らに、元木の言葉が突き刺さる。
「だから待てって言ったのに。『勝つためのバドミントン』だけじゃ勝てねえんだよ。」
ポイント
バドミントンには、「勝つためのバドミントン」と「負けないためのバドミントン」があります。
「勝つ」と「負けない」は同じように見えますが、そこには大きな違いがあり、この違いをおさえておくとゲームを優位に進めることができます。
まず、「勝つためのバドミントン」は、リードや逆転を狙う攻撃のバドミントン。
具体的には、決めに行くショット(エースショット)が多いのが特徴です。
もちろん、エースショットを打つことが悪いことではありません。
しかし、ミスのリスクも高まります。
一方、「負けないためのバドミントン」はミスをしないバドミントン。
無理なショットを控えたり、たとえ決まらなくても、強打されないための配球をするといった具合です。
リードを広げたり逆転することはできませんが、立て直しや一気に相手に流れを持って行かれることを防げるメリットがあります。
この2つは、表裏一体。
どちらが良いではなく、その時々のシチュエーションに応じて使い分けて初めて効果を発揮します。
難しいのはこの使い分け。
リスクを取ってでも攻めるべきか、負けないことに徹するべきかは、ラリーポイント導入からわかりにくくなりました。
サーブ権があるときは果敢に攻め、ないときはミスのないプレーというセオリーが通用しなくなったからです。
技術と戦略の進歩で、ダブルスのゲーム展開は、日々複雑になってきています。
これを勝ち抜くためには、
● 点差が開いていなくても、相手が調子を上げてきていれば、少し無理をしてでもプレッシャーをかけるべき
● 逆に連続ポイントを取られて、早いうちに追いついておきたいと思う時こそ、まずリズムを立て直すためにミスのないプレーを心がけるべき
というように、今、自分たちにとって必要なのはどちらなのかを、もっと微妙なレベルで見極められる力が必要なのです。
スポンサード リンク