ダブルス上級者のスピンネット対策

ダブルス

ある日のゲーム練習。

先輩の得意ショット「スピンネット」に手を焼く順平。

そんな彼に救いの手を差し伸べるのは・・・

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「オラオラ。どうした順平。しっかり取れよ。」

「うぅ・・・」


バドミントンには何でこんなややこしいショットが存在するのだ・・・

順平は頭をかきむしった。


彼を悩ませているのは「スピンネット」。

スピンをかけてネット際に落とすこのショット。

高等テクニックなのでチームであまり使うメンバーはいない。

しかし、今相手をしている先輩は、ガンガン使ってくる。


スピンネットは、羽根が下になって飛んでくる。

そのため、コルクが下になるのを待ってから打たなければ羽根打ちになってしまう。

かといって待っていればタッチが遅くなってしまい、とても攻撃的なレシーブはできない。


スピンネットは捨てよう。

とにかく力いっぱい奥に飛ばすしかない。

それが順平のスピンネット対策だった。


だが、相手もそれを読んでいる。

飛ばした先には必ず後衛がいて、待ってましたとばかりに強烈なスマッシュを打ち込んでくるのだ。


先日出場したダブルス大会でも、スピンネットが得意な相手に負けた。

はー、もうどうしろって言うんだよ・・・


悩んでも仕方がない。

できるだけネット際でやりあわないゲーム展開をするようにしよう。

頭を切り替え、昼食をとることにした。


もうすぐ午後の練習が始まる。

順平が準備をしていると、レシーブプリンセス優子が声をかけてきた。


「・・・さっきは・・・残念・・・だった・・・ね。」

「そうなんですよ。スピンネットなんて・・・反則ですよねぇ・・・」


優子は不思議な表情をした。

何が難しいかわからないといった顔だ。


そうこうしているうちに、練習再開の時間がきた。


「・・・見てて。」


そう言い残し、優子はコートに向かった。


今日優子ペアの相手をするのも、スピンネットが得意なペア。

加入したばかりの後輩コンビだが、先日のダブルス大会でも入賞の快挙を果たした実力派だ。


果たしてレシーブプリンセスはどう対処するのか。

固唾を飲んでゲームを見守る順平。


相手ペアは序盤から優子にスピンネットを打ってきた。

どうやらかなり自信を持っているようだ。

しかし、順平と一緒に試合を観戦していたチームメイトは首を横に振った。


「ムダなことを・・・」

「えっ?どういうことですか?」

「初対決だから知らないだろうけど・・・彼女にスピンネットは無意味だ。」


次の瞬間、順平は目を疑った。

優子はまるで普通のショットをさばくようにスピンネットを打ち返した。


唖然とする相手ペア。

その後もスピンネットを打ち続けるが、ことごとく打ち返されてしまう。

一番の武器を封じられ、結局為す術もなくたたみ込まれてしまった。


唖然としたのは順平も同じだった。

自分があれほど苦戦していたスピンネットを何事もなく返すなんて・・・


順平はつぶやいた。


「あの人には、弱点がないのか?」

ポイント

数あるバドミントンのショットの中で、もっとも対処が難しいものの1つ「スピンネット」。

一般にはコルクが下を向くのを待って奥に飛ばし、体勢を整えるという対策が取られます。

しかしそれでは、「こいつにスピンネットを打てばクリアがくるぞ」と読まれてしまいます。

これを防ぎ、ダブルスを優位に進めるためには、スピンネットをネット際に返すスキルを身につけておきたいものです。


そこで有効になってくるのが、今回優子さんがやった「スピンネットをそのままスピンをかけて打ち返す」レシーブ。

シャトルのコルク部分に横からタッチして、回転に逆らわず返してやると、コルクの向きに関係なくスムーズなリターンができます。

難しそうですが、相手のスイングやシャトルの動きから、回転方向さえ見極めれば意外に簡単です。


中級者くらいまでだとスピンネットを決め球として使ってくる人が多いですから、それを返せれば一気に優位に立てます。

大きく飛ばす方法でスピンネットがさばけるようになったら、ぜひ挑戦してみてください。


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