決勝で勝てるダブルスペアの戦い方

ダブルス

ある日の市民バドミントン大会に、ダブルスのピンチヒッターとして出場することになった順平。

厳しい戦いをくぐり抜けて、ついに迎えた決勝戦。

優勝の2文字に、心を弾ませる順平だが・・・

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もともと出るはずだったチームメイトの急用で、ピンチヒッターをつとめることになった順平。

組み合わせが良かったのか、それとも運が良かったのか。

苦しいゲームを乗り越えて、どうにか決勝戦に駒を進めることができた。


(パートナーにも恵まれたし、ここまで来たら勝つしかない!)


鼻息を荒げる順平。

今回順平のパートナーをつとめるのは、ダブルス一筋のチームの古株。

急な試合でほとんど練習をしなかったにも関わらず、こちらに合わせてくるのはさすがである。


(バドミントンの神様どうかお願いします。勝てたら1ヶ月チームのパシリやりますから!)


そう、祈ってからコートに入った。


決勝戦。

相手が仕掛ける速い展開に、一歩も引かず食らいつく順平たち。

どちらが勝ってもおかしくなかったが、どうにか第1セットを奪うことができた。


第2セットを控えたインターバル。

先に試合を終えた後衛のスペシャリスト大垣が、応援に来てくれた。


「すごいじゃない順平ちゃん。相手も相当強いのに。」

「ええ、良い感じです。このまま勝ちに行きますよ。」


長らく勝ちから遠ざかっていた順平。

久しぶりの栄光に向けて、胸の高鳴りが押さえきれない。

かなり疲労がたまっているが、そんなことは言っていられない。


やがて、第2セットの開始が告げられる。

コートに入ろうとして、少し足下がふらついた。

それを見た大垣が、心配そうに声をかける。


「ずいぶん疲れているみたいだけど、大丈夫?」

「・・・しょうがないですよ。今日の組み合わせは強い相手ばっかりだったし。」


まだ何か言いたそうな大垣を遮り、順平は戦いに身を投じていった。


それからしばらくして。

コートには、呆然とした表情で立ち尽くす順平の姿があった。


最初こそ第1セットの勢いで点を取れた。

しかし、しばらくすると順平にミスが出だした。

やがて、あれほどかみ合っていたペアのコンビネーションにも乱れが生まれた。


パートナーが必死でフォローしてくれたが、その穴を埋めることはできず、あっという間に負けてしまった。

一方が良くても、もう一方がダメではペアとしては機能しない。

ダブルスの恐ろしいところである。


バドミントンの神様は、1ヶ月程度のパシリでは、願いは聞いてくれなかったようだ。


すごすごと引上げる順平。

優勝への期待が大きかっただけに、落胆も大きい。


肩を落とす順平に、大垣が歩み寄ってきた。


「せっかく応援してくれたのに、負けちゃいました。」

「残念だったね。それで、何が原因で負けたかわかってる?」

「組み合わせが悪かったですね。あと、体力不足です。もっと筋トレしなきゃ・・・」


その言葉を聞いて、大垣が表情を変えた。


「違うよ。そうやって組み合わせのせいにして、何の工夫もしなかったからだよ。」

ポイント

バドミントンの試合は、トーナメントで行われることがほとんど。

勝ち進むペアは1日に何試合も戦わなければなりません。

そのため、優勝するためには技術はもちろん、ペース配分も大切になってきます。


序盤の楽に勝てる相手との戦いで、いかに体力を温存できるか。

逆にどのゲームは手を抜けないか。

それをイメージしていかなくてはいけません。


しかし、組み合わせによっては、最初から息を抜けないゲームばかりを強いられるケースも出てきます。

当然、最後の方は疲労から踏ん張りが効かなくなったり、いつも通りのプレーができなくなります。


だからといって、そこに何の手も打たなければ、勝てるかどうかは組み合わせ次第になってしまいます。

でも、常に結果を出せる人は違います。


● ゆっくりした展開など、疲労がたまっていても戦える戦略を用意する

● シャトルの交換や汗ふきなどを、プレー以外のことでも体力回復の時間を稼ぐ

● 普段の練習から疲労した状態でのゲームに慣れておく


など、相手のレベルに関わらずできることを見つけ、取り入れているのです。


勝てる相手に、少しでも楽に勝とうとするのは当然。

大切なのは、強い相手との戦い方です。


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