次のオープンバドミントン大会に向けた、ある日のダブルス練習でのこと。
うまくいかないプッシュにイライラする順平。
そんな順平に、前衛マエストロ元木は・・・
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次のオープンバドミントン大会に向けた、ある日のダブルス練習でのこと。
うまくいかないプッシュにイライラする順平。
そんな順平に、前衛マエストロ元木は・・・
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今日、何度目だろう。
順平は、恨めしそうにネットを睨みつけた。
せっかくのプッシュをネットに引っかけてしまった。
プッシュだけではない。
ほかのプレーにしても、どうもタイミングが合わないことが多い。
昼休みがやってきた。
金欠から経費削減を強いられる順平の昼食は、手作り弁当だ。
ウインナーが少し焦げている。
「おう順平。隣いいか?」
そう声をかけてきたのは、チームが誇る前衛マエストロ元木だった。
しばらく無言の時間が過ぎた後、元木が声をかけてきた。
「どうした?ずいぶんイラついてるじゃねえか。」
そこで順平は、自分の不調を打ち明けることにした。
「次のダブルス大会までに直るかなぁ・・・はぁ。」
言葉にすると、急に不安が襲ってくる。
もしこのスランプがこのまま続いたら・・・
だが、元木が順平にかけたのは、思わぬ言葉だった。
「良いんじゃねぇか?今のままで。」
「えっ?」
元木の真意がわからず、うろたえる順平。
それを察したのか、元木が言葉を続ける。
「いや、さっきも見てたけど、お前反応が早くなってじゃん。」
「そ、そうなんですか?」
「おう。だからスイングのタイミングがずれてるんだよ。」
「・・・」
戸惑いの表情を浮かべる順平。
元木は、そんな彼の背中を強く叩いた。
「今はミスしても良い時期だ。これを乗り越えれば1つレベルが上がるんだからな。」
ポイント
バドミントンには、上達の過程で一時的に停滞、もしくは後退することがよくあります。
わかりやすいように、もう1つストーリーとは別の例を取り上げてみましょう。
たとえば、ショットのスピードを上げたい時。
最初に考えなければいけないのは、スイングのスピードを上げることですよね。
しかし、スイングを速くすれば、それまでよりシャトルを引きつけてから打たなければ振り急ぎになってしまいます。
当然、新しいスイングを身につけるまでは、ミスが続く期間が出てきます。
これはステップアップするために、必要なミスです。
それを恐れて、小さくまとまっていては上達は見込めません。
初心者・中級者のダブルスプレーヤーに、なかなか上達できない人が多いのは、このためです。
一方、継続的に安定した上達をしていく人は、目先のことに一喜一憂しません。
必要なミスと、そうでないミスを見極める目を持ち、先を見据えているからです。
バドミントンには、すぐには結果の出ないことがたくさんあります。
常に先のビジョンを描き、今どこにいるのか見失わないようにしていきましょう。
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