ダブルス上級者が持つ練習時の視点

ダブルス

暑さなんて何のその!

底なしの体力で練習を精力的にこなす順平。

やがてやってきたオールロング練習の時間。

颯爽とコートに入る順平に、前衛マエストロ元木は・・・

スポンサード リンク


「よっしゃこーい!!」

「おぉ、順平。気合い入ってるな。」


順平の威勢の良い声が体育館にこだまする。

最初はすぐにへばっていたが、最近ではチームNo.1の体力を発揮するようになった。

バドミントンで使う筋肉や力を理解し、無駄なく使えるようになったせいだろう。


休憩を挟んで次に行われるのは「オールロング」。

打ち出されたシャトルを、すべてロブかクリアで奥に返す古典練習だ。


攻められたときに、体勢を立て直す技術と戦術は、バドミントンダブルスに欠かせない必須スキル。

順平も基礎練習の中で、特に重要視している練習である。


いつもはコート半面で行うが、今日は練習参加者が少ないのでオールコートでやることになりそうだ。

当然、体力を2倍使うことになる。


「よっしゃー、そしたらいきますか!!」


だがそんな順平のやる気に、水を差す男が現れた。

我がチームが誇る前衛マエストロ元木である。


「おいおい順平。お前また受け側に回るつもりかよ。」


(せっかくやる気全開でコートに入ったのに・・・)


順平は心の中で舌打ちした。

それを知ってか知らずか、元木は言葉を続けた。


「もったいないなぁ。」

「えっ?どういうことですか?」


順平の受け答えを聞いた元木は、大きくため息をついた。


「お前、昔ノック練習の時に教えたこと忘れたのかよ?」

「えっ?」

「こういう練習は打つ方が配球の勉強になるんだよ。お前もそろそろもっと上を目指せよ。」

ポイント

以前「みるみる攻めるポイントが見える練習法」で、ノックの打ち手は普段なかなかできない「とれる球ととれない球の見極め」ができるというお話をしました。

今回はその応用編です。


ストーリーの中でも紹介したとおり、オールロングは崩されてもしっかりあげて時間を稼ぐ、特にダブルスで大切な、ゲームを立て直す技術・戦術を身につける練習です。

ただ、ある程度のスキルが身についた後は、体力と根性を鍛えるだけの練習になりがち。


そこで上級者が目をつけるのが、打ち手のメリット。

ノックで見えるのは単純に「とれる球ととれない球」ですが、オールロングではより具体的に「上げられる球と上げられない球」が見えてきます。


上級者を相手にしたダブルスのゲームでは、一発では決まるパターンはほとんどありません。

少しずつ崩して、段階的に隙を作っていく必要があります。

そのときにモノを言うのが、「とれる・とれない」より高いレベルの微妙な配球なのです。


ダブルスが強い人は、同じ練習でライバルより高い効果を生む人です。

普段何となくオールロングをやっていた人は、これを機に見直してみましょう。


スポンサード リンク

関連記事