大会シーズンを目前にした順平たちは、隣町のバドミントンチームとの合同練習にのぞんでいた。
あと一歩のところで勝利を逃してしまった順平。
そんな彼に、前衛マエストロ元木は・・・
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低い球でもアタッキングロブで打てるコツ
いよいよ迎える大会シーズン。
少しでも多くの実戦経験を積もうと、他チームとの合同練習が増えてきた。
今日も、隣町のバドミントンチームとともに、汗を流す。
基礎練習を終え、お待ちかねのゲーム練習タイムがやってきた。
自然と、鼻息が荒くなる順平。
ここで勝って弾みをつけたいところだ。
セットカウント1対1で迎えた最終セット。
両者一歩譲らぬ展開に、ギャラリーも注目している。
おそらく、次の1点を取った方が流れをつかむだろう。
緊張のラリーが始まる。
前衛に入った順平に、シャトルが飛んだ。
プッシュで押し込むには少し低い。
一瞬、順平の頭に迷いがよぎる。
（これを落とせば・・・ここは確実にいこう）。
ラケットを下げて、ヘアピンを選ぶ順平。
しかし、この選択が裏目に出た。
それを読んでいた相手が一気に前に詰めて、プッシュを打ってきたのだ。
結局、その1点が決定打となり、順平たちは負けてしまった。
落ち込む順平。
どうしても勝ちたかったゲームだけに、その悔しさもひとしおだ。
ポンポン
そんな順平の頭が叩かれる。
前衛マエストロ元木だ。
「おしかったな。あそこで強気にいけてりゃ勝てたかもしれないのに・・・」
「・・・言わないでください。僕だって打てるものなら打ちたかったですよ・・・」
そう。
あれをプッシュするのは無理だった。
第一、相手は前に詰めていたから、仮にプッシュしたとしても打ち返されていただろう。
あれは、仕方なかったんだ・・・
そう、自分に言い聞かせていた。
だが、元木はそんな順平の心を見透かすように言った。
「前衛が攻撃をあきらめてどうするんだよ！」
「は、はぁ。」
「見てろ。俺が攻撃的な前衛とは何か教えてやる。」
それからしばらくして、順平はコートの元木をじっと見ていた。
エース級の選手を相手に、一歩も譲らぬゲームを展開している。
やがて、元木に微妙な球がいった。
順平が判断を迷ったのと同じコースだ。
（これはヘアピンしかないだろう。）
そう思った順平。
だが、元木はそれを、アタッキングロブであざやかに決めた。
（えっ？打てるわけないだろ。あんな低い球を・・・）
目の前で起きたことが信じられない順平。
その視線を感じたのか、元木はこちらを振り返り、Vサインを投げかけるのであった。
ポイント
ダブルスの前衛の場合。
低い打点でとらなければいけない球がくると、打てるショットはヘアピンに限定されてしまいがちです。
しかし、相手もそれを想定して配球している以上、そこに乗ってしまっては順平君のようになってしまいます。
では、元木はなぜアタッキングロブ（通常より低い軌道で飛ぶ攻撃的なロブ）を打てたのでしょうか。
それは、彼が足を前後に開いて体の高さを低くしたからです。
こうすれば、相対的に打点が上がり、ヘアピン以外のショットを打つ選択肢が生まれます。
元木も言うとおり、バドミントンは心理的に風下に立てば、その瞬間から不利になります。
より確実な勝利のためにも、強気なプレーを押し通すためにできることを、1つ1つ増やしていきましょうね。
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