勝てるチームの練習はココが違う

練習

大会も無事に終わり、平穏な空気の戻ったチーム。

後輩の指導に熱を燃やす順平。

しかし、順調かと思われた練習に、優子が首を突っ込んできた。

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「おぉ、やるな。」


順平が感心の声を上げる。

それを聞いて、得意げな笑顔を浮かべる後輩。


今、順平たちがやっているのは「オールショート」。

ネット際から打たれるシャトルを、ノッカーに正確に返すバドミントンの基本練習だ。


後輩の上達に、やりがいを感じる順平。

つい先日まで、ほとんど取れなかったのに・・・


「よし、まだまだいくぞ!しっかり取れよ!!」

「はい、よろしくおねがいします。」


オールショート第2ラウンドを始めようとしたその時。


グッ


脇腹がラケットで押された。

振り返ると、そこに立っていたのは我がチームが誇るレシーブプリンセス優子だった。

いつも思うことだが・・・黙ってそばに立つのは怖いからやめてほしい。


恐る恐る声をかける。


「あのぉ・・・優子さん・・・何か・・・」


そう声を掛けてきた順平を無視して、優子は後輩に言った。


「ダメ・・・だよ。あんなオールショートに・・・慣れちゃ。」

「えっ!?」

「・・・次は・・・わたしと・・・しよう。」


そういって後輩をコートに招き入れる優子。

腑に落ちないのは順平だ。


(ちょっと待てよ。僕の何が悪いってんだ!)


コートで練習が始まる。


だが、開始早々、後輩はシャトルを落としてしまった。


「・・・どうした・・・の?」

「えっ、あっ、いや。もう一本お願いします。」


順平とやっていた時は続いていたのに、全然続かない。

しばらくすると、後輩は息をあげて、へたばってしまった。


優子は、茫然とする順平に言った。


「試合のための・・・練習も大切・・だけど、練習のための・・・練習も・・・しなきゃ・・・だめ。」

ポイント

「練習を練習の目的にするな」というのはよく言われること。

確かに、実戦を意識せず、ただ練習をこなすことだけを目的にしてしまっては意味がありません。

そういう意味では、この言葉は真実です。


ただ、バドミントンに練習のための練習が必要でないかといえば、そんなことはありません。

なぜなら、質の高い練習をするには、それなりのスキルが必要だからです。


今回のストーリーはその好例。

オールショートは、主に前衛でのレシーブ力を鍛えるためのノックの1種です。

しかし、ノッカーの球出しが下手だと、とたんに意味がなくなります。


実のある練習のためには、相手の苦手な部分を鍛える球を打てなくてはいけません。

順平くんのように、ただ続くだけの球しか出せないようでは、練習にならないのです。


ノックに限らず、練習のためのプレーをうまくやるには、実戦とはまた違った感覚が必要になります。

そのため、チームを強くしたいなら、練習のための練習が必要になるのです。


もちろん、バドミントン最終の目標は試合に勝つことです。

でも、そのためには良い練習をするための下地作りが必要だということを覚えておきましょうね。


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