長引く不況への不安からだろうか。
この数年、能力向上や成功のための手段について書かれた本、いわゆる自己啓発書が幅を利かせている。
書店にいくと、「カンタンに倍の成果が出る」・「自由と豊かさが手に入る最短ルート」・「運動しなくても痩せられる」など、魅力的なタイトルが並んでいる。
自己啓発書には、最小の努力で大きな結果を出すための、効率的な方法を説くものが多い。
その内容も、独創的なものから二番煎じ的なものまで、玉石混交だ。
こういった自己啓発書を買っても成果をあげられない人がいる。
そういう人には、ある共通した特徴がある。
それは、効率を重視しすぎることだ。
彼らは本を読んでも、もっと効率的な方法があるはずだ、と書かれていることをそのまま実行しない。
著者の意図を読み取ることなく、これはやろう、これは必要ないというように、良いとこ取りしたりする。
そして、この本は自分には合わない、などと別の本を買いに行くのだ。
効率を重視しすぎるせいで逆に効率が悪くなることは、バドミントンの練習でもよく見かける。
自主練習などで、プレーヤーがメニューを持ち寄るときを考えてみてほしい。
全員の意見を取りまとめ、もっと効率的にやろうと話し合っているうちに、時間が過ぎてしまったことはないだろうか。
多少ムダがあっても、その時間を使った方が良かったのに、何とももったいない話である。
また、自分たちで練習メニューを組むときにやってしまいがちなのが、詰め込みすぎ。
いち早く多くのスキルを習得しようと、効率ばかりに気を取られ、量だけ多い練習メニューを組んでしまう。
質が伴わないから、結局身にならないということが起きてしまうのだ。
時間に限りがある以上、効率は確かに大切だ。
だが、実際に動かなければ見えないものがあるのもまた事実。
失敗やムダは、一度やってみなければ実感できない。
そこから何かを得ようとする意識があれば、ムダなことなどないのだ。
あなたが身に付けるべきは、効率の良い時間の使い方だろうか?
それとも、次につながる経験だろうか?
自分の胸に問いかけてみよう。
■ 今日の格言 「練習上手は自己啓発書を最後まで読む」