ワンランク上の前衛がする仕事とは?

前衛

着実に前衛としての実力を上げる順平。

チームの中堅ペアに勝つことも増えてきた。

しかし、そんな順平に前衛マエストロ元木は・・・

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「よっしゃー!!」

「くそぉ、やるなぁ順平・・・」


順平の鋭いプッシュが相手コートを切り裂く。

今日倒したのは、チーム内でも5本の指に入る実力派のペア。

少しずつだが、自分の前衛に自信を持てるようになってきた。


流し込んだスポーツドリンクが、乾いたのどを潤してゆく。

勝った後の一杯は格別だ。


「おう、順平。今日は上機嫌じゃねえか。」


そう声をかけてきたのは、前衛マエストロ元木だった。

どうやらこれからゲーム練習に入るようだ。


「ゲーム見てたぜ。調子良さそうじゃねえか。」

「ありがとうございます。僕も今日は良かったなぁって思ってて。」


順平の顔にも笑顔があふれる。

だが、元木は表情を引き締め、こんなことを言い出した。


「あんな個人技ばっかりの前衛じゃ、上には通用しねえな。」


腑に落ちない順平。

パートナーとのコンビネーションもうまくいっていた。

ケチを付けられるようなことはしていないはずだ。


いくら考えても、思い当たる節は見当たらない。

そんな順平にこう言い残し、元木はコートに入っていった。


「口で言ってもわからねえかな。まあ見てろよ。」


いつも通り、相手を圧倒する元木ペア。

順平は、その様子を目を皿のようにして見ていた。

しかし、いつもより元木の手数が少ないくらいで、自分との決定的な違いは見つからない。


ゲームはあっという間に終わってしまった。

さっそうと引き上げてくる元木ペア。

2人の会話が聞こえてくる。


「お前が前衛だと後衛は楽だよ。さすが元木だよなぁ。」

「おう。お前もいいスマッシュ打ってたな。」

「そりゃお前があれだけチャンスボール作ってくれたらスマッシュも打つさ。」


その一言で、ようやく元木の真意が見えた。


「そっ、そういうことか。」


自分の未熟さとバドミントンの奥深さを痛感する順平であった。

ポイント

・ ネット際の球をプッシュで押しこむ

・ ヘアピンでネット際を攻める

・ 相手のクセを観察し後衛に指示を出す


バドミントンダブルスにおける前衛の基本的な役割です。


さて、ある程度の経験を積んで、この役割を全うできるようになったら、もうワンランク上の前衛を目指しましょう。

さらに攻撃的なゲームをするための前衛の仕事。

それは、「後衛が攻撃的なショットを打つための配球を引き出すこと」です。


こんなケースを考えてみましょう。

自分が前衛だとして、フォアハンドでのスマッシュが得意な右利きの後衛とペアを組んだとします。


前衛は、どの球にも対応できるよう、コート中央にポジションを取るのがセオリーです。

しかしここで、あえてコート左側にポジションを取ったらどうでしょう?


前衛は、左だけを集中的に守ればよいので、より確実に相手の返球をブロックできるようになります。

そして後衛にも、得意なフォアハンドでスマッシュを打てる機会が増やせるのです。


ネット際でのプレーばかりに焦点が当てられる前衛。

しかし、ワンランク上の前衛は、もう一歩進んで後衛の攻撃力も上げるのです。


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