次の大会に、加入当時から面倒を見てきた後輩と出場することになった順平。
先輩として、頼られるパートナーでありたいと練習に取り組む。
だが、その様子を見ていた前衛マエストロ元木は・・・
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次の大会に、加入当時から面倒を見てきた後輩と出場することになった順平。
先輩として、頼られるパートナーでありたいと練習に取り組む。
だが、その様子を見ていた前衛マエストロ元木は・・・
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パートナーは、今回が大会デビューになる後輩。
優勝はできないだろうけど、せめて1勝くらいはさせてあげたい。
先輩として出来る限りのことをしてやろうと決めていた。
まだまだ課題の残る後輩を勝たせるにはどうすればよいか・・・
日々、その事ばかりを考える順平。
後輩は腕力が強く、強いスマッシュが打てる。
しかし、攻撃が単調で、レシーブ面でも課題が残る。
そこで順平は、自分が前衛に入ってできる限り守備をサポートし、ローテーションを使うことで攻撃パターンを増やすことにした。
そんなある日の休憩時間。
順平がドリンクを飲んでいると、前衛マエストロ元木が声をかけてきた。
「おう順平。お前次の大会、あいつと出るんだってな。」
「そうなんですよ。せっかくだから1勝だけでもさせてあげたいと思って。」
「ふーん。で、どっちが前衛やるんだ?」
「僕です。彼には前衛は難しいと思うので。」
「まっ、頑張れや。」
ゲーム練習の時間がやってきた。
後輩に声をかける順平。
「僕ができるだけカバーに入るから、守備は気にせず、スマッシュを打つことに集中するんだぞ。」
「・・・はぁ。わかりました。」
やがてゲームが始まった。
いつもより後ろよりにポジションを取る順平。
球足の長いショットを打たれるたびに後ろが気になって振り返る。
ゲームが終わった。
何度か自分のプレーにミスが出たりもしたが、何とか勝つことができた。
もう少し慣れれば、後輩をカバーしながらでも戦えるだろう。
そんな手応えを掴んだ。
いつもなら体育館が閉まるギリギリまで自主練をする順平。
しかし、今日は慣れないことをやって疲れたので早めに帰ることにした。
(こんなに早い時間に帰るのは久しぶりだな。さて、何をしようかな・・・)
その後の予定を考える順平に声をかけてきたメンバーがいた。
元木である。
「順平、ちょっと良いか?」
「あっ、元木さんお疲れ様です。どうしたんですか?」
「今日のゲーム練習見てたけどさ・・・ありゃねえだろ。」
突然のダメ出しに驚く順平。
後輩のことを考え、こんなに頑張ったのに・・・
「あの・・・僕、何か悪いことしました?」
「俺のところに相談に来たよ。お前が自分のことを信用してくれないって。」
そんなことがあったとは夢にも思わなかった順平は言葉を失った。
そんな順平に元木はさらに驚くべき事実を伝えてきた。
「知ってるか?あいつ練習日以外も他のチームで練習してるんだぜ。」
「えっ!?」
「早くお前に釣り合うパートナーになりたいんだってさ。それなのにお前ってヤツは・・・」
ポイント
バドミントンダブルスの試合を見ていると、かなり下がってポジションを取り、絶えず背後を気にする前衛をよく見ます。
自分が後衛に入ったつもりで、この光景を想像してみてください。
自分の守備範囲を侵されれば、誰だって「自分は信頼されていないのか?」って思ってしまいますよね。
ポジションを下げる理由に「ローテーションして攻撃に参加するため」といったことを挙げる人もよく見かけます。
しかしローテーションは本来、ペアの守備体勢が崩れた時にお互いをカバーするための技術。
つまり、ローテーションのために下がっているというのは、いつ体制が崩れるかわからないからそれに備えているということ。
これでは、後衛を信頼していないと言っているのと同じです。
パートナーとの信頼関係が重要なバドミントンダブルスでは、前衛のこういう振る舞いは致命的。
「ダブルスが強い前衛は動かない」でも紹介した通り、ダブルスでは前衛・後衛がそれぞれの仕事を全うしなければ良い結果は生まれません。
前衛に入っていて、思い当たる節がある人はすぐに改めるようにしましょう。
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