組んだら負ける前衛の特徴

前衛

次の大会に、加入当時から面倒を見てきた後輩と出場することになった順平。

先輩として、頼られるパートナーでありたいと練習に取り組む。

だが、その様子を見ていた前衛マエストロ元木は・・・

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来月の大会にダブルスでの出場が決まった順平。

パートナーは、今回が大会デビューになる後輩。


優勝はできないだろうけど、せめて1勝くらいはさせてあげたい。

先輩として出来る限りのことをしてやろうと決めていた。


まだまだ課題の残る後輩を勝たせるにはどうすればよいか・・・

日々、その事ばかりを考える順平。


後輩は腕力が強く、強いスマッシュが打てる。

しかし、攻撃が単調で、レシーブ面でも課題が残る。

そこで順平は、自分が前衛に入ってできる限り守備をサポートし、ローテーションを使うことで攻撃パターンを増やすことにした。


そんなある日の休憩時間。

順平がドリンクを飲んでいると、前衛マエストロ元木が声をかけてきた。


「おう順平。お前次の大会、あいつと出るんだってな。」

「そうなんですよ。せっかくだから1勝だけでもさせてあげたいと思って。」

「ふーん。で、どっちが前衛やるんだ?」

「僕です。彼には前衛は難しいと思うので。」

「まっ、頑張れや。」


ゲーム練習の時間がやってきた。

後輩に声をかける順平。


「僕ができるだけカバーに入るから、守備は気にせず、スマッシュを打つことに集中するんだぞ。」

「・・・はぁ。わかりました。」


やがてゲームが始まった。

いつもより後ろよりにポジションを取る順平。

球足の長いショットを打たれるたびに後ろが気になって振り返る。


ゲームが終わった。

何度か自分のプレーにミスが出たりもしたが、何とか勝つことができた。

もう少し慣れれば、後輩をカバーしながらでも戦えるだろう。

そんな手応えを掴んだ。


いつもなら体育館が閉まるギリギリまで自主練をする順平。

しかし、今日は慣れないことをやって疲れたので早めに帰ることにした。


(こんなに早い時間に帰るのは久しぶりだな。さて、何をしようかな・・・)


その後の予定を考える順平に声をかけてきたメンバーがいた。

元木である。


「順平、ちょっと良いか?」

「あっ、元木さんお疲れ様です。どうしたんですか?」

「今日のゲーム練習見てたけどさ・・・ありゃねえだろ。」


突然のダメ出しに驚く順平。

後輩のことを考え、こんなに頑張ったのに・・・


「あの・・・僕、何か悪いことしました?」

「俺のところに相談に来たよ。お前が自分のことを信用してくれないって。」


そんなことがあったとは夢にも思わなかった順平は言葉を失った。

そんな順平に元木はさらに驚くべき事実を伝えてきた。


「知ってるか?あいつ練習日以外も他のチームで練習してるんだぜ。」

「えっ!?」

「早くお前に釣り合うパートナーになりたいんだってさ。それなのにお前ってヤツは・・・」

ポイント

バドミントンダブルスの試合を見ていると、かなり下がってポジションを取り、絶えず背後を気にする前衛をよく見ます。


自分が後衛に入ったつもりで、この光景を想像してみてください。

自分の守備範囲を侵されれば、誰だって「自分は信頼されていないのか?」って思ってしまいますよね。


ポジションを下げる理由に「ローテーションして攻撃に参加するため」といったことを挙げる人もよく見かけます。

しかしローテーションは本来、ペアの守備体勢が崩れた時にお互いをカバーするための技術。


つまり、ローテーションのために下がっているというのは、いつ体制が崩れるかわからないからそれに備えているということ。

これでは、後衛を信頼していないと言っているのと同じです。


パートナーとの信頼関係が重要なバドミントンダブルスでは、前衛のこういう振る舞いは致命的。

ダブルスが強い前衛は動かない」でも紹介した通り、ダブルスでは前衛・後衛がそれぞれの仕事を全うしなければ良い結果は生まれません。

前衛に入っていて、思い当たる節がある人はすぐに改めるようにしましょう。


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