すっかりチーム内での新人教育係に定着した順平。
先日加入した後輩に、チームの基礎練習をやさしく教えている。
だが、そんな順平の「ある一言」を聞いた優子は・・・
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すっかりチーム内での新人教育係に定着した順平。
先日加入した後輩に、チームの基礎練習をやさしく教えている。
だが、そんな順平の「ある一言」を聞いた優子は・・・
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「はい。」
新人の面倒を見るようになって数ヶ月。
教え方もだいぶさまになってきた。
相手が理解していない部分はないか、注意を払いながら丁寧に教えている。
今日教えている新人は、バドミントンはもちろん本格的にスポーツをやった経験もまったくない。
技術面・体力面・メンタル面・・・課題は山積みだ。
だけど、せっかくだからバドミントンを好きになってほしい。
そう考える順平は、自分が初心者だった頃のことを思い出し、できる限り優しく指導していこうと考えている。
そんなことを考えていると、新人がこんなことを言い出した。
「・・・それにしても、バドミントンって難しいですね。僕なんか基礎練習でさえこなせないし・・・本当に試合なんか出れるのかな・・・」
そう、そうなんだよ。
順平は深く共感した。
自分も最初の頃は、オモチャのラケットを使って公園でやる遊びのバドミントンと、競技バドミントンの違いに驚いたものだ。
心配する後輩に優しく話しかける順平。
「大丈夫だって!最初は誰だってこんなものだよ。」
「でも・・・」
「僕だって最初はそうだったよ。」
「・・・そうですかねぇ。でも、僕、不器用だから。」
「基礎練習なんて少し慣れたら、鼻歌を歌いながらでも自然にできるようになるよ。」
2人の会話が終わって、全体での基礎練習が始まる時間がやってきた。
そろそろコートに入ろうか、そう思った時だった。
順平はラケットでわき腹をつつかれた。
振り返ると、そこにいたのは不機嫌な顔をした優子だった。
今日の優子は、練習だというのに少し化粧をしているようだ。
・・・ただ・・・口紅の塗り方が・・・どう見ても「おばけのQ太郎」状態だ。
そこは注意したほうが良いだろうか。
迷っている順平に、優子は突然こんなことを言い出した。
「・・・順平・・・くん・・・彼の基礎練習は・・・わたしが・・・教えるから。」
「えっ?でも大丈夫ですよ。これは僕の役目ですし。」
今日は新人の相手を代わってくれるということだろうか。
だが、試合も控えているし、教育係は自分に任せて、優子には目の前のことに集中してほしい。
そう考えた順平だったが、優子の真意は違った。
「・・・順平くんが・・・教えたら・・・彼が・・・ダメになる。」
「えっ!?そんなことないですよ。丁寧にしっかり教えていますし大丈夫です!!」
「基礎練習を・・・鼻歌まじりで・・・やるような人は・・・ダメ。」
ポイント
ノック練習に代表されるバドミントンの基礎練習。
チームでは、ゲーム練習や個人練習の前に全員でやることが多いですよね。
そのせいでしょうか。
基礎練習を、ウォーミングアップの1つと軽く考えている人をよく見ます。
しかし、ここに上達を阻む落とし穴があります。
バドミントンに限らず、基礎練習は同じことを繰り返す反復練習が中心。
慣れてくれば当然、意識しなくてもできるようになります。
これは逆に言えば、何の目的意識も持たずに体を動かしているということです。
この状態では、変な癖や間違ったフォームがついてもなかなか気づけません。
その結果、知らず知らずのうちに「間違えたプレー」の反復練習をしてしまい、後から修正に苦労することになってしまうのです。
だからこそ上級者は、基礎練習にこそ特別な意識を注ぎます。
基礎練習こそ、自分のペースで客観的に自分のプレーを見つめなおす場だと考えるのです。
思い当たる人は、次の練習から改めるようにしてくださいね。
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