スティーヴンキング。
ホラー小説ファンなら知らない人はいないアメリカの文豪である。
『シャイニング』『ドラゴンの眼』といった代表作を持ち、広辞苑にも載っている。
日本でも多大な支持を集めており、宮部みゆき・小野不由美といった作家も強く影響を受けたと語っている。
そんな彼の言葉の中に、こんなものがある。
「推敲に当たっては、単語一つ削れば百ドルの得と思うくらいの気構えがなくてはならない。」
自著『小説作法』の中で述べられており、文章を削ることを覚えてから出版社から話をしてもらえるようになったのだという。
これは勝つためのバドミントンをする上でも、大切な考え方だ。
特に、初・中級者は強くなろうとするとき、打てるショットの種類を増やして、攻撃の幅を広げようとする。
しかしそこには、こんなリスクがあることを忘れてはいけない。
こちらが攻撃のパターンを増やせば、当然相手からの返球も種類が増える。
それまではストレート返球だけに注意すれば良かったのに、クロス返球にも対応しなければならない、といったことが起こってくる。
やるべきことが増えれば、練習時間が足りなくなり、1つ1つのプレーの質が下がってしまう。
オフシーズンならともかく、本番が迫っているときには、自分の首を絞めることになるのだ。
では逆に、自分が点を取れる得意なプレーに焦点を絞ればどうだろう。
1つ1つのことに集中しやすくなるから、当然プレーの質は上がる。
また、相手からの返球コースも絞られるので、戦略が組みやすくなる。
戦略がシンプルになれば、ダブルスでのパートナーとのコンビネーションが取りやすい。
良いことずくめではないか。
プレーの選択肢が少なくなることに不安を感じる人が出てくるかもしれない。
そういう人は今までの試合を振り返ってみてほしい。
自分が点を取っているパターンがそれほど多くないことに気づくはずだ。
勝つために必要な戦略というのは、そう多くはないのだ。
まずは自分の強みをしっかりと見据え、そこにフォーカスするようにしてみよう。
自分のプレーが複雑になりすぎていないか、見直してみよう。
手を広げるのはそれからだ。
■ 今日の格言 「知的な選手はスティーヴンキングを愛読する」