バック側へのプッシュはこう返せ

レシーブ

バック側へのプッシュの対応に苦労する順平。

相手の攻撃を断ち切れる返球ができないのだ。

弱点克服のため、バックハンドレシーブの特訓を始めた順平だが、優子は・・・

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「甘いぜ、順平!」

「うわっ、やばっ」

「シングルスならまだしも、ダブルスでそんな甘い返球は通用しないぜ。」


バックハンド側へのプッシュは、順平の弱点の1つだ。

セオリー通り、高さと距離のある返球で相手を下げ、体勢を整えたいところだが、なかなかうまくいかない。

うまくいったと思っても、打ち込まれてしまう。


(今こそバックハンドに取り組む時だ!!)


順平は決心した。

バドミントンを始めた頃からずっと続くバックハンドへの苦手意識。

それがあらゆるところで自分の足を引っ張っているのは、わかっていたことだ。

でも、今それを嘆いても仕方がない。

逆に、今これを克服すれば・・・


バドミントンの教本・先輩のアドバイス・経験から得た知識・・・

すべてを総動員してバックハンドのパワーアップにのぞむ順平。


後輩を捕まえては、遅くまで練習に没頭する日が続く。

明らかに嫌そうな顔をしているが・・・気づいていないフリをした。


そうして練習を続けていくうちに、少しずつだが良いショットが打てるようになってきた。


そんなある日。

ふと時計を見ると、体育館の閉館時間が迫っていた。

そろそろ、片付けを始めなくては。


ネットをたたんで倉庫に向かった順平は、マットの上で何かが動く気配を感じた。

恐る恐る目を凝らしてみると、それは・・・優子だった。


「うわっ、優子さん。こんなところで何してるんですか!?」

「・・・練習で疲れたから・・・寝てた・・・」

「ビックリさせないでくださいよ!幽霊かと思ったじゃないですか!!」


彼女は、まだ焦点の定まっていない目をしたまま、口を開いた。


「・・・いつも・・・こんなに遅い・・・の?」

「ええ。バックにプッシュ打たれると全然ダメなので。」

「・・・すごい・・・ね。がんばり・・・やさん。」

「でもだいぶ感覚がつかめてきました。もうすぐフォアハンドと同じくらいの球が打てるようになりますよ!」


得意げな順平。

だが、優子はそんな気持ちに水を差してきた。


「あのさ・・・その練習は・・・いくらやっても・・・ムダ・・・」

「えぇぇぇぇ?ムダってどういうことですか!?」

「・・・順平・・・くんが・・・克服したいのは・・・プッシュのレシーブ・・・でしょ?」

「そうですよ。だからバックハンドの練習を・・・」

「今の順平君は・・・バックへの対策と・・・バックへのプッシュ対策を・・・混同してる。」

ポイント

ショートサーブやヘアピンを打つと、よく使われるプッシュ。

フォアより打ちにくいバック側が狙われるので、なかなか厄介です。


皆さんは、このプッシュにどんな対策をとりますか?

おそらく順平君のように、相手後衛を十分に下げられる高さと距離を出すために、バックハンドの練習をする人が多いのではないでしょうか?

もちろんそれはそれで大切なことなのですが・・・残念ながら根本的な間違いを2つ犯しています。


まず、1つ目の間違いは、「バックハンドが苦手だから打ち込まれる」という勘違い。

プッシュレシーブが甘くなってしまう本当の理由は、近距離から打たれるため、十分なテイクバックを取れないせいです。

ですから、いくらバックハンドがうまくなっても、根本的な解決にはなりません。


そして2つ目の間違いは、「高さと距離が十分にあれば打ち込まれるリスクは低い」という誤解。

プッシュを打てばロングリターンというのは、使い古されたセオリーです。

いくら強打を打ちにくいコースといっても、それを読まれていては対応されてしまいます。


では具体的にどうすれば良いのか。

オススメしたいのは、「相手後衛の利き手側へのハーフ球」です。


これならそれほどの距離や高さはいりませんし、ロングリターンを予想している相手の裏をかけます。

また、相手のトップ&バックの間を突けば、お見合いを誘って、そのままリターンエースを狙うことも可能です。


今回の事例は、セオリーから抜け出すためのほんの一例。

これ以外にも、できる限りプレーの引き出しを増やせるよう、考えていきましょうね。


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