ダブルスで勝てない選手の特徴

ダブルス

大会目前。

ここのところダブルスで勝ち星に恵まれない順平は、いつも以上にハードな練習に取り組む。

だが、その様子を見ていたサーブリターンの達人、ミチルは・・・

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「順平、まだやるのかよ。」

「もう少し。もう少しだけお願いします!!」


3日後に開かれるダブルスのバドミントン大会に向け、猛練習中の順平。

その熱心さは、相手を務める先輩のほうが疲れてしまうほどだ。


今、順平が取り組んでいるのは、「サーブリターンからのよりスピーディなポジション移動」。


自分のサーブリターン直後に失点が多いことは、以前から気になっていた。

そこで、攻撃態勢に入るのが遅いため相手に十分なプレッシャーをかけられていないという仮説を立てたのだ。


さぁ、もう一本!

ラケットを握り直した時だった。


「ちょっと新人君!いつまでやってるの!!」

「人が集中しているときに邪魔しないでください・・・って、うわっ、ミチルさん。」


せっかく集中していたところを邪魔され、不満の声を上げた先にいたのは、ミチルだった。

普段従順な順平に文句を言われたことに少し驚いた様子のミチル。

だが、すぐに落ち着きを取り戻して、口を開いた。


「へぇ。わたしに文句を言うなんて・・・良いご身分になったものね。」


本番まで時間がない。

できることは全てやっておきたい。


「すみません。でも、もう少しだけやらせてくれませんか?」


そう申し出る順平。

だが、そんな順平にミチルは意味深な言葉を投げかけた。


「失敗するのをわかってて放っておくのも気分が悪いけど・・・でもまぁ良いわ。それもまた勉強だし。」


そして大会当日。

いつになくテンションの高い順平。

こんなに充実した気分で試合にのぞむのは、久しぶりだ。


そうこうしているうちに、出番がやってきた。

勢い良くコートに入る。


やがて、順平がサーブリターンをするシーンがやってきた。

それまでの練習を1つ1つ思い出して、サーブがくるのを待つ。


自分が思う以上にうまくいったはずだった。

だが、いつもと違う順平の移動に、パートナーのカバーが間に合わない。

ポッカリと空いたスペースに放り込まれてしまった。


その後もすれ違いが続く順平ペア。

連続失点でリズムを崩し、結局負けてしまった。


(な、何でだ~!?)


肩を落として引き上げる順平に、ミチルが声をかける。


「だから言ったでしょ。失敗するって。」

「・・・」

「初心者が直前で背伸びしたって、良いことなんかないのよ。」

ポイント

試合が近づくと、特に初心者プレーヤーは普段やらないことをしたがります。

たとえば、


● 試合直前に新しいテクニックを覚えたがる。

● 普段と違う攻め方を試みようとする。

● いつもは適当なウォーミングアップを息が上がるほど精一杯やる。


思い当たる方もいるのではないでしょうか。

しかし、これらは、十分な準備ができなかった人が不安を隠そうとしているに過ぎません。


本番の試合は、ただでさえ普段の力を出すのが難しいものです。

そんな環境で付け焼刃のテクニックや戦術が通用するはずはありません。


ウォーミングアップも同じ。

疲労感で一時的な満足を得ても、結局スタミナ切れで自滅するのが関の山です。


普段やらないことによる弊害はほかにもあります。

それは、「バランスが崩れてしまうこと。」


バドミントンのプレーには一連の流れがあります。

前後を無視して、一部分だけパフォーマンスを上げては全体のバランスが崩れてしまいます。

これでは効果が上がらないどころか、ひどい場合、ケガの原因にもなりかねません。


2人のコンビネーションが大切なダブルスだったらなおさら。

コンビの一方だけが中途半端にパフォーマンスを上げては、それまですり合わせてきた戦略がゆがんでしまいます。

どう転んでもプラスにはなりません。


本当に強い人は、決してテストの一夜漬けのようなことはしません。

試合までの時間と今の課題をしっかりと見て、できることをきちんとやります。

そして、本番でも安定した強さを発揮するのです。


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