今すぐ変えるべきサーブの意識

サーブ

ある日の練習でのこと。

いつもどおりのサーブ練習を終え、次の練習に取り掛かろうとする順平。

だが、クリス花柳は・・・

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誰もいない体育館。

一番乗りした順平は、冷え切った空気に1つ身震いをした。

ネットを張り、軽くストレッチを終えると、さっそく自主トレを開始する。


チームの中堅になった今でも、サーブ練習を決して欠かさない順平。

サーブはバドミントンの基本。

基本だからこそ、おろそかにしてはいけない。

そう思っているからだ。


ショートサーブを20本・・・それが終わったらロングサーブを20本・・・


練習を始めた順平は、すぐに良い手応えを感じた。

ショートサーブはサービスラインに、ロングサーブはエンドラインにピタリと決まる。

体も軽いような気がする。


「よし!今日は調子が良いぞ。」


良い気分でサーブ練習を終え、次の練習に入る前に小休止を入れようとした。

その時だった。


「何が『今日は調子が良いぞ。』だい。」


声をかけてきたのは、サーブのクリスこと、クリス花柳だった。


「あっ、クリスさん。風邪、もう大丈夫なんですか?」

「うん。心配をかけたね。」


前回の練習を風邪で休んでいたクリス。

順平も心配していたが、どうやら完治したようだ。


「ところで、さっきのサーブは何だい?」

「あっ、見てたんですか?今日、調子が良いんですよ。ロングもショートもライン上にピタッと決まるんです。」


得意げな順平。

だが、クリスは良い顔をしなかった。


「君、20本ずつ打ったサーブのうち、何本ミスショットがあったか覚えてるかい?」

「え?うーん、数えてないですねぇ。」

「ショートで3本、ロングで4本だよ!」

「そうですか。結構少ないんですね。」


順平の発言に、クリスは信じられないという表情を浮かべた。


「君は何を言ってるんだい?」

「えっ?成功率80%ですよ。テストでも80点取れば優秀でしょ?」

「違う!失敗率20%だ!!実際のゲームだったら何点ムダにしたと思ってるんだい?」

「・・・」

「サーブは誰にも邪魔されないで打てるショットだ。100%成功して当たり前と思いたまえ!」

ポイント

成功率80%というと一見、優秀な数字に思えます。

また、中級者でもサーブの練習はほとんどしないという人が見受けられます。

でも、この記事を読んだあなたは、もっとシビアな意識を持つようにしてください。


ラリーポイント制が導入されてから、1セットの中で打つサーブの回数は極端に減りました。

ダブルスの場合、セティングにでもならない限り、1セット中に1人が打つサーブは10回もないことがほとんどです。

つまり、仮に1セット内で3回サーブミスをすれば、21点中3点=15%近くを相手に提供していることになります。

これは無視できない数字です。


特にダブルスの場合、レシーバーは第3打目をパートナーにフォローしてもらえるため、思い切って前に出てきます。

浮いたサーブはすぐに叩かれるというプレッシャーで、サーブの成功率は練習時よりさらに下がります。

練習で成功率80%だったら・・・考えただけでもゾッとしますよね。


ストーリーの中でクリスも言っていた通り、サーブはバドミントンの中で唯一、誰にも邪魔されずに打てるショットです。

100%の成功率を目指しましょう。


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