上級者はサイドバイサイドをこう考える

サイドバイサイド

最近、勝ちに恵まれない順平。

サイドバイサイドの態勢を取った相手から点が取れないのだ。

勝てないバドミントンほどつまらないものはない。

いらだちを隠せない順平に、元木は・・・

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(またか・・・)


順平は心の中でため息をついた。

あんなに攻めたはずなのに・・・勝てなかった。


相手をサイドバイサイドの守備態勢にして、主導権を握るところまではいく。

しかし、点が取れない。

いくら攻めても拾われ、そうこうしているうちに反撃されてしまう。


(自分にもっと攻撃力があれば・・・)


悔しさに、ラケットをギュッと握りしめた。


ゲーム練習が終わって休憩時間がやってくる。

負けて沈んだ気分を変えようと、スポーツドリンクを一気飲みした。


そんな順平に、声をかけてきたのは、前衛マエストロこと元木だった。


「おう、順平お疲れさん。」

「あっ、元木さん。お疲れ様です。」

「どうした?ずいぶんイラついてるじゃねえか。」


自分の悩みを打ち明ける順平。

元木は、じっとその話を聞いてくれた。


「・・・というわけなんです。」

「なるほどねぇ。」

「もっと速いショットが打てたらなぁ・・・」


天井を見ながら愚痴をこぼす。

そんな順平に、元木は厳しい言葉を突き付けた。


「お前、バカじゃねぇの?どんだけバドミントンやってるんだよ。」

「へっ?」

「力だけのバドミントンが、ダブルスに通用するか!」

ポイント

確かにサイドバイサイドは守りの陣形ですから、相手にこの形を取らせれば、攻めているのは自分たちだと言えるでしょう。

しかしここで安心してはいけません。


シングルスに比べて守備範囲が狭くて済むダブルスでは、アタッカーの攻撃力だけで相手を押し切るのは限界があります。

サイドバイサイドの相手から、確実に点を取るために大切なこと。

それは、『いかにレシーバーを孤立させ、より広い範囲を守らせるか』です。


たとえば、ネット際での前衛の場合。

チャンスボールがきたら、プッシュで決めてやろうと考えがちです。

しかし場合によっては、先にヘアピンを打って相手を動かした方が、より確実なチャンスをつくれることもあります。

2人の間に隙があったとしても、あえてサイドに振った方がスペースをつくれる場合もあるのです。


ダブルスは、1発で決まることがほとんどありません。

大切なのは、相手をサイドバイサイドにしたその先です。


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