今日も後輩の指導にあたる順平だったが、いまひとつかみ合わない。
それを見ていたレシーブプリンセス優子は・・・
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今日も後輩の指導にあたる順平だったが、いまひとつかみ合わない。
それを見ていたレシーブプリンセス優子は・・・
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後輩といっても、順平に誘われて入った友達だ。
「木下、バドミントンはレシーブが大切なんだ。」
「そんなこと、わかってるって!だから手っ取り早くレシーブ力上げる方法教えろよ。」
悪い奴ではないけれど・・・なんか熱意みたいなものがないんだよなぁ・・・
順平は心の中でため息をついた。
2人の会話は続く。
「シングルスだったら自分が負けるだけだけど、ダブルスはパートナーにも迷惑がかかるからな。」
「順平もそれで怒られたりしてるんだろ?」
「うっ、うるさいなぁ。とにかくパートナーの動きをよく見て、相手からのあらゆる配球を想定して・・・」
「俺、そういうの苦手。頭悪いから。」
「・・・」
トントン
順平の肩が叩かれた。
そこにいたのは、優子だった。
なぜか涙目で恨めしそうにこちらを見ている。
「ど、どうしたんですか?優子さん!?」
「ずっといたのに・・・順平くん、気づいて・・・くれなかった。」
「あの・・・いつからそこに・・・」
「・・・最初から・・・ずっと・・・」
「あの、何かご用でしょうか?」
「どっちか・・・ゲーム練習の・・・パートナー・・・お願い・・・」
体育館の時計を見ると、いつの間にかゲーム練習の時間が近づいていた。
自分が組もうと思った順平だったが、ふと思いとどまった。
(優子さんと組んだら、こいつもレシーブがうまくなるかも。)
そんなやり取りの後、ゲーム練習は始まった。
コートでは、順平ペアと優子ペアが、ネットを挟んでにらみ合っていた。
「順平、容赦しないぜ。」
「そりゃこっちのセリフだ。」
優子を避け、木下への集中攻撃でリードを奪う順平ペア。
運動神経は良いほうだが、やはり素人。
こちらの配球にまったくついてこれない。
順平ペアの圧勝で第1セットはあっという間に終わった。
これでは練習にならないし、木下への攻撃はやめようか。
そう思った第2セット。
順平は自分の目を疑った。
木下のレシーブに、まったくムダがないのだ。
ときどきは素人っぽいプレーは出るものの、要所要所できっちり返してくる。
インターバルの間に、優子から何かアドバイスを受けていたのは見たが・・・
1分程度のアドバイスで、ここまで変わるものなのか!?
結局、思わぬ反撃に動揺した順平ペアは第2セットを落としてしまった。
第3セットにのぞむ両ペア。
向こうのコートから、木下の少し興奮した声が聞こえてくる。
「優子さん、すごいっす。言われたとおりにしたら本当に勝てました!」
「・・・良かった・・・ね・・・。」
「レシーブって意外に簡単なんですね。前衛のラケットが寝たら、ロブかヘアピンだけ注意すれば良いなんて初めて聞きました。」
「・・・バドミントンは・・・2択・・・」
(2択?優子さんは、何を言ってるんだ!?)
思わず聞き耳を立てる。
だが、そんな順平の耳に入ったのは、悲しい一言だった。
「そんなことも知らないなんて、順平も大したことないっすね。」
「うん・・・チョロい・・・よ。」
ガーン!
木下はともかく、優子さんまで・・・
全身から力が抜けていくのを止められない順平であった。
ポイント
相手からどんな返球がくるのかわからず、全部に備えて、結局どっちつかずのレシーブになってしまう。
初級プレーヤーによくある話です。
そんなレシーブ対策がうまくいかない方は、基本的に2択で考えると良いでしょう。
何がくるのかわからないのだから、そんなことできるわけがないと思われがちですが、実際はそうでもありません。
たとえば、
・前衛のラケットが寝たら、ヘアピンかロブ(=プッシュはほとんどこない)
・クロスのショートサーブを打てば、返ってくるのはクロスのヘアピンかドロップ(=プッシュやストレート返球はきにくい)
というように、ほとんどのプレーは2択で処理ができるのです。
この考え方を知っていると、ダブルスはグッと楽になります。
なぜなら、2人のプレーヤーが2択の1つずつを受け持てば、1つのことだけに集中できるため、迷うことがないからです。
選択肢を絞ると、余裕ができます。
より積極的なレシーブができるよう、このことを覚えておいてくださいね。
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