力の入ったラウンド(ラウンドザヘッド)が打てない順平。
それを知ったチームメイトはゲーム練習になると、バック奥ばかり狙ってくる。
そんな順平に後衛のスペシャリスト大垣は・・・
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力の入ったラウンド(ラウンドザヘッド)が打てない順平。
それを知ったチームメイトはゲーム練習になると、バック奥ばかり狙ってくる。
そんな順平に後衛のスペシャリスト大垣は・・・
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そう言いながらコートを去る相手を、恨めしそうな眼差しで見送る順平。
苦手なバック奥を執拗に攻められての敗戦。
力のないラウンドを容赦なく叩かれた。
なんとか打たれないようにと、配球を工夫してみたが、小細工が通用するほどバドミントンは甘くない。
「あぁ、もう何なんだよ!!」
順平は頭をかきむしった。
「おやおや、荒れてるねぇ、順平ちゃん。」
そう声をかけてきたのは、後衛のスペシャリスト大垣だった。
だが、今の順平にはその相手をする心の余裕はない。
「大垣さん。すみませんけど今は一人にしてもらえますか?」
「あらら、冷たいなぁ順平ちゃん。でも、自分の弱さから逃げちゃダメだよ。」
「そんなこと、わかってますって!!」
いらだちを表に出してしまう。
正論だが・・・いや、正論だからこそ耳が痛い。
しばらくして、少し冷静さを取り戻した順平。
ひどい態度を取ってしまった後悔が押し寄せる。
「すみません、大垣さん。カリカリしちゃって。」
「ああ、別に良いよ。誰だってイライラする時はあるものさ。」
大垣は、特に気にしていないようだ。
やがて、ゆっくりと口を開いた。
「力の入ったラウンドが打てないみたいだね。」
「・・・はい。それでバック奥に打たれないよう配球してみたんですけど・・・」
「配球にも限界があるよ。それにそういう苦手意識はプレーにも悪影響だ。」
「・・・そうですよね。でも、どうしたら・・・」
考えこんでしまった順平。
大垣は、しばらく辺りを見渡した後、また口を開いた。
「順平ちゃん。あのコートを見てごらん。」
大垣の差したコートを見ると、そこでは後輩の山口がゲーム練習をしていた。
このチームでは珍しい左利きプレーヤーだ。
「山口君が、何か?」
「彼がフォア奥で打つショットをよーく見てごらん。」
それから程なく、山口のフォア奥にクリアが飛んだ。
それを力強く打ち返す山口。
「うん。力の乗った良いショットだね。」
「・・・はい。彼もうまくなりましたね。」
そこで大垣は、少し声を大きくして、順平に質問を投げかけた。
「同じ左側からの返球なのに、彼は強く打てて、順平ちゃんは打てない。何でだろう?」
「そりゃ彼が左利きだからですよ。彼はフォアショット、僕はラウンドです。そんなの何の参考にもなりませんよ!」
大垣は笑って言葉を続けた。
「違うね。彼と君のフットワークの違いをよーく考えてごらん。」
「ええと・・・山口君はランニングステップで・・・僕は・・・あっ!!」
ポイント
それでは、順平君と山口君のフットワークの差を見ていきましょう。
山口君が取っていたのは、足を交差して動くランニングステップ。
一方、順平君が取っていたのは、踏み出した足に、もう片方の足をすり寄せて動くサイドステップです。
サイドステップは動きやすいフットワークですが、十分な半身の姿勢が取れません。
それで、腰のひねりが中途半端になってしまい、力が乗らないのです。
ラウンドザヘッドは、落下点の把握が難しい状況で打つことの多いショットです。
そのため、どうしても移動距離の微調整がしやすいサイドステップを使いがちになります。
しかし、そのせいで力のないショットしか打てないのでは、意味がありません。
確かに、ランニングステップで精度の高い移動をするには、それなりの練習が必要です。
しかし、サイドステップより移動スピードが速いというメリットがあります。
ラウンドザヘッドだけでなく、バドミントン全般にプラスになりますから、ぜひ取り組んでみてくださいね。
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