つながるドロップ つながらないドロップ

ドロップ

つなぎとして使いこなせれば攻撃の幅がグッと広がるドロップ。

バドミントンになくてはならない、縁の下の力持ち的ショットだ。

ドロップが決まらず、ゲームを落としてしまった順平に大垣は・・・

スポンサード リンク


バシッ!


攻撃を切り替えようとドロップを打った順平。

しかし、前衛に入っていた先輩が対応できず、ゲームは終わった。

ゲーム後、先輩が申し訳なさそうに頭を下げてきた。


「わ、悪い順平。」

「いえ、僕こそもっと厳しいコースに打っていれば。」


そうは言いながらも、どこか釈然としない順平。

あれはキッチリとサイドを突いていた。

先輩がしっかり返してくれたら、逆サイドに切り返せたのに・・・

終わったことを言っても仕方ないが、悔やまれる。


午前の練習が終わり、昼食の時間がやってきた。

弁当男子の順平は、一人手製の弁当を広げていた。


「順平ちゃん。さっきのドロップ残念だったね。あ、食後にドロップはいかが?」


そう声をかけてきた大垣の手には、ドロップの缶が握られていた。


「大垣さん・・・もしかして、そのダジャレのためにドロップ持ち歩いているんですか?」

「うん、そうだよ。」

「もしかして、いつもドリンクがレモンスカッシュなのも・・・」

「もちろん、いつでもスマッシュネタを披露するためさ!」


順平はドッと疲労感が襲ってくるのを感じた。

これでバドミントンの腕は一流というのだから、世の中って不条理だ。

そんなことを考えていると、大垣が話題を振ってきた。


「それより順平ちゃん。さっきのドロップだけど。」

「あ、はい。逆サイド攻めたかったんですけどねぇ・・・」


時計を見ると、練習再開10分前だった。

大垣は大きく伸びをしてから屈伸運動を始めた。


「もうすぐ午後の練習だね。どう順平ちゃん?コンビ組まない?」

「あ、良いですよ。」


やがてゲーム練習の時間がやってきた。

自然に大垣が後衛、順平が前衛になる。


ゲーム終盤、大垣・順平ペアが攻めるシーン。

相手がガッチリ守備を固めているため、なかなか決まらない。

そろそろリズムを切り替えたいところだ。


大垣も同じ事を考えたのだろう。

スマッシュの合間にドロップを打った。


(あれ?ちょっとそこは・・・)


順平は驚いた。

そのドロップはセンターど真ん中だったからだ。

サイドを狙うと思って準備していた順平は、慌ててセンターに走った。

結局、高く上がった相手の返球を、大垣が決めてゲームは終わった。


ゲーム終了後、順平が汗を拭いていると、大垣がさっきの相手と話をしていた。


「あのドロップにはやられましたよ。やっぱ大垣さんは後衛のスペシャリストですね。」

「はっはっは。」

「順平はベストポジションにいるからヘアピンは打てないし、上げれば後衛のスマッシュじゃ打つ手ないじゃないですか。」

「まぁ、ドロップは大切だからね。」

「つなぐってああいう事なんですね。勉強になりました。」


この言葉を聞いて順平は、午前中のゲームを落としたのは、前衛の先輩ではなく自分のドロップが原因だったと悟るのだった。

ポイント

バドミントンのゲームでは、つなぎが必要な場面が出てきます。

ストーリーのように、攻撃パターンを切り替えたい時や、ちょっと休憩したいという時です。


そんな時、重宝するのがドロップ。

しかし、つなぎであるはずのドロップを、欲を出してサイドに打ってしまうことってありませんか?


後衛がサイドに打てば、当然、前衛のプレーヤーはドロップが入ったコースに移動します。

すると、逆サイドが大きく空いてしまい、攻めているはずが逆にピンチに!

後衛同士の打ち合いと違い、前衛への返球は滞空時間が短いため、左右に振られると対応できないのです。


そのドロップは、前衛も後衛も攻撃が続けられるつなぎか?

コートに入ったらもう一度、確認してみましょう。


スポンサード リンク

関連記事