バック奥、それは初心者が狙われると一番つらい場所だ。
新人の指導にあたる順平も、正直なところ決定的な打開策は見いだせていない。
そんな頼りない指導に大垣は・・・
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バック奥、それは初心者が狙われると一番つらい場所だ。
新人の指導にあたる順平も、正直なところ決定的な打開策は見いだせていない。
そんな頼りない指導に大垣は・・・
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苦手なプレーに関する指導のせいで、しどろもどろの順平。
「・・・だったら、もっと足を動かして落下点に速く到達すれば・・・」
「それができないから聞いてるんじゃないですか。」
「・・・それなら、配球でなるべくバック奥に打たれないようにすれば・・・」
「それでも打たれたらどうするんですか。」
「・・・うーん・・・そうだねぇ・・・」
「もう、しっかりしてくださいよ!!」
新人からのツッコミにうなだれてしまう順平。
相手はなかば呆れている。
これではどちらが先輩か分からない。
時間だけがいたずらに過ぎる。
もうすぐ全体練習が再開されてしまう。
「2人してどうしたの?もうすぐ練習始まるよ。」
そんな時、声をかけてきたのは、後衛のスペシャリスト大垣だった。
「あっ、大垣さん。」
「どうしたの順平ちゃん。そんな弱ったなぁって顔して。」
「じ、実は・・・」
話を聞いた大垣はニコニコしながら新人の方を向いた。
「ええと、この前入った曽我ちゃんだったよね。」
「は、はい。」
「そっがー、曽我ちゃん、それは大変だねぇ。」
(新人相手にそのダジャレはキツイですよ、大垣さん)
心の中で突っ込む順平。
だが・・・
「あはははは。大垣さんって面白いですね。」
「えっ?そう?僕のハイテクニックなダジャレがわかるの?」
「はい。最高です。」
「良いねぇ、君。素質があるよ!」
(え~!?ほ、本気で言ってるの?)
新人の意外な反応に驚く順平。
それを気にすることもなく、2人の会話は続く。
「とりあえずコートに立ってみなよ。」
「は、はい。」
「ただし・・・」
「えっ?それ、順平さんにやっちゃダメだって言われてますけど。」
「良いから良いから♪」
アドバイスを受け、コートに立つ新人。
そしてバック奥に打たれたシャトルをきれいに返した。
「やっ、やったぁ!」
「ほらね。バック奥なんて簡単でしょ?」
「大垣さんってすごいんですね。順平さんよりずっと頼りになります!」
「うん。いつでも聞きにくると良いよ。」
「はい!」
メンツをつぶされ、立ち尽くす順平。
やりきれない気持ちを午後の練習にぶつけようと誓うのであった。
ポイント
大垣のアドバイスはズバリ、「ウエスタングリップで打つこと」です。
バドミントンのラケットの持ち方は、大きく
・手首を自然な状態にすると、ラケット面が床と垂直になる握り方「イースタングリップ」
・手首を自然な状態にすると、ラケット面が床と水平になる握り方「ウエスタングリップ」
にわかれています。
この2種類の持ち方のうち、現在のバドミントンでは、後者の「イースタングリップ」が主流。
手首の可動域を広く使え、微妙なコントロールがしやすいからです。
しかし、ウエスタングリップにも、イースタングリップにはないメリットがあります。
それは、手首で面をつくる必要がないため、予備動作が少なくミスしにくいこと。
そのため、スマッシュのような強打には不向きですが、バック奥のように厳しいコースを突かれた時に使うと、スムーズな返球ができます。
フライパン持ちと呼ばれ、やってはいけないと指導するコーチもいるウエスタングリップ。
しかし、バドミントンのグリップに良い・悪いはありません。
良い使い方と悪い使い方があるだけなのです。
シーンに応じて使い分け、プレーの幅を広げていきましょう!
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