絶対禁止!最悪な打点の上げ方

スマッシュ

少しでも高い打点から角度のあるスマッシュを打ちたい順平は、フォームの見直しを始めた。

教本と先輩のアドバイスを頼りに、手応えをつかみ始める。

だが、後衛のスペシャリスト大垣は・・・

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『腕をしっかりと伸ばして、スイングの際、ヒジが耳に触れるイメージで・・・』


愛読しているバドミントン教本の、真っ赤なペンでアンダーラインが引かれた部分を頭に叩き込む。


打点アップに取り組む順平。

受ける側に立つとわかるが、高い打点から角度をつけて打たれるスマッシュはプレッシャーが違う。

もっと怖がられる後衛にならなければ・・・


「おっ、順平。打点高くなってきたなぁ。スマッシュにも角度がある。」


そう言ってくれたのは、午後のゲーム練習で相手をしてくれた先輩だ。


(よしっ!)


順平は心の中でガッツポーズを取った。

少し威力が落ちたような気がするけれど、それはまだ慣れていないからだろう。

練習を積めばきっと・・・


「あれ?順平ちゃん。フォーム変えたの?」

「あっ、大垣さん。」


声をかけてきたのは後衛のスペシャリスト大垣だった。

振り返った順平は、首を傾げた。

いつもの笑顔とダジャレがないのだ。


「順平ちゃん、もう1回スマッシュ打ってみてくれる?」


言われたとおりにする。

それを見た瞬間、大垣は慌てて順平に走り寄った。

その顔は青ざめていた。


「順平ちゃん!スマッシュを打つ時は腕を伸ばしきっちゃダメだよ!!」

「えっ?でもこの本にも・・・」


大垣は、順平から教本を受け取ると、それを乱暴に投げ捨ててしまった。


「こんなこと書いてある本は読んじゃダメ!!」

「えぇ~!?」

「まったく!こんなこと書く指導者がいるから日本のバドミントンは世界でバカにされるんだ!!」

「いや、別にバカになんてされてないと思いますけど・・・」


しばらくして、怒りの収まった大垣は順平の目を見て、ゆっくりと話を始めた。


「いいかい順平ちゃん。ヒジを高く上げてのスイングは肩の筋肉を痛めるから絶対にやっちゃダメだよ。」

「は、はい。」

「それにそのスイングだと、打点は上がっても全然力が入らないから意味がないよ。」

「た、確かに。なんか打ちづらいなぁとは思ってたんですけど・・・」


うんうん、と頷く大垣。

さらに話は続く。


「両肩を結ぶラインを意識して。ヒジはそこより上げちゃダメ!」

「ちょっ、ちょっと待ってください!そんなにヒジが低いスマッシュ、見たことないですよ!」

「そんなことないって。僕だってそう打ってるよ。」

「そんなバカな!大垣さん、打点すごく高いじゃないですか!」

「いや、本当だって。」


そう言った大垣は、順平の左肩をグッと押し下げ、右肩を押し上げた。


「ほら、どう?両肩からヒジまで一直線。さっきより力も入るだろ?」

ポイント

もし手元にラケットがあれば、直立の姿勢で腕をまっすぐ伸ばして、ヒジを高く上げてみましょう。

ラケットを振っても、力が入らないのではないでしょうか?


このフォームだと力が入らないばかりか、棘上筋(きょくじょうきん)という肩の筋肉を痛める可能性があります。

思い当たる方は今すぐやめるようにしてください。


では、打点を上げるにはどうするか。

それがストーリーでもご紹介した、左肩を下げたフォーム。

すると自然に右肩が上がり、その分打点が上がります。

※ 左利きの方だったら右肩を下げます。


それから、このフォームにはもう1つメリットがあります。

それは「次の1歩が出しやすいこと。」


右肩を上げると、自然に左足に体重が乗ります。

すると、右足の力が抜けるので、どの方向にもスッと出せるわけです。


自分はもちろん、チームメイトにも教えてあげてくださいね。


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