バック奥に煽られた時の最終手段「ラウンドザヘッド」。
この日の順平も窮地を脱しようと覚えたての技で脱出を試みた。
しかし・・・
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バック奥に煽られた時の最終手段「ラウンドザヘッド」。
この日の順平も窮地を脱しようと覚えたての技で脱出を試みた。
しかし・・・
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誰もいない体育館で順平は一人、拳を握りしめた。
ずっと練習していたラウンドザヘッドが、ようやく実戦で使えると確信したのだ。
数あるバドミントンのプレーの中でも最高難度の大技だけに、習得の喜びもひとしおだ。
「ああ、次の練習が楽しみだなあ♪」
バック奥の厳しい攻めを華麗に返す自分を想像して、家路についた。
そんなある日のこと。
ゲーム練習の時間がやってきた。
パートナーはレシーブプリンセス優子。
早く覚えたての技を披露したい順平はうずうずしていた。
「順・・・平・・・くん・・・どうした・・・の?」
声をかけてきた優子の表情は、少しこわばっていた。
どうやらかなり間抜けなニヤケ顔をしていたようだ。
「な、何でもありません。今日もよろしくお願いします。」
「・・・うん・・・よろ・・・しく・・・ね。」
そしてゲームが始まった。
チャンスは・・・思ったよりも早くやってきた。
相手の深いドリブンクリアーがバック奥に飛ぶ。
順平は練習を思い出しながらラウンドザヘッドの体勢に入った。
パシッ
シャトルは・・・良いコースに飛んだ!
スピードもある。
(よっしゃ!)
心の中でガッツポーズを取る順平。
しかし・・・
相手はその返球を、順平が下がって空いたスペースに放り込んだ。
(くっそー。)
心の中で舌打ちをする。
でも、ラウンドザヘッド自体は成功した。
悪い気分ではない。
気持ちを切り替え、次のプレーに備える順平。
ゲーム中盤。
今度は優子のバック奥にシャトルが飛んだ。
(優子さん・・・きっときれいなラウンド打つんだろうな。)
そのプレーを目に焼き付けようと注目する順平。
優子が落下地点に入る。
そして打ったのは・・・ラウンドザヘッドではなくハイバックだった。
(あれ?)
順平は首を傾げた。
優子ならあそこでラウンドザヘッドが打てたはずだ。
それをわざわざスピードの劣るハイバックで返すなんて・・・
ゲーム終了後。
汗をふく順平の肩が叩かれる。
優子だ。
「あっ、優子さん。お疲れ様です。」
「バカの・・・一つ覚えは・・・ダメ。」
「バカの一つ覚え・・・え~!?」
優子の口から出た厳しい言葉に、タオルを落とす順平であった。
ポイント
ラウンドザヘッドとハイバック。
どちらもバック奥の球を打つためのショットですね。
一般にフォアハンドの延長であるラウンドザヘッドの方が、ハイバックよりスピードのある返球ができます。
そう聞くと、どちらでも打てる場合はラウンドザヘッドを選びたくなりますよね。
しかし、ハイバックにはハイバックのメリットがあります。
それは返球まで時間がかけられること。
今回のストーリーで順平くんは前が大きく空いていたにも関わらず、ラウンドザヘッドを打ちました。
その結果、煽られているにも関わらず立て直しの時間を稼げず、失点してしまったのです。
バドミントンのプレーに無駄なものはありません。
その時々でベストな選択ができるようにしたいものですね。
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