相手の足元をえぐる角度のあるスマッシュは、バドミントンをするもの全てのあこがれ。
実際、順平に寄せられる後輩からの質問も、その大多数がスマッシュに角度をつけるための方法についてだ。
その質問が寄せられるたびに、教本や過去のアドバイスを元に、少しでも高い打点で打つことを指導してきた順平。
だが、後衛のスペシャリスト大垣は・・・
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相手の足元をえぐる角度のあるスマッシュは、バドミントンをするもの全てのあこがれ。
実際、順平に寄せられる後輩からの質問も、その大多数がスマッシュに角度をつけるための方法についてだ。
その質問が寄せられるたびに、教本や過去のアドバイスを元に、少しでも高い打点で打つことを指導してきた順平。
だが、後衛のスペシャリスト大垣は・・・
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正直なところ、最初のうちは面倒だと思っていた。
しかし、最近は自分でも忘れかけていた基本を思い出すことのできるチャンスとして捉えている。
この日も順平は、ある後輩の質問を受けていた。
3ヶ月ほど前にチームに加入した、ちょっと生意気な女の子だ。
聞かれているのは「どうすれば角度のあるスマッシュが打てるか」。
初心者・中級者が一度はつまづくところだ。
「少しでも高い打点で打つことを意識してごらん。そうすれば自然に角度もついてくるから。」
「それをやっても上手くいかないから相談してるんじゃないですか~。」
「まだまだ意識が足りないんだよ!バドミントンに近道はないの!!ほらっ、練習練習!!!」
「はーい。」
(まったくいまどきの若いものは・・・楽な方法ばっかり知りたがるんだから・・・)
自分もいまどきの若者であることを棚に上げ、1人ため息をつく。
そんな順平に声をかけてきたのが、後衛のスペシャリスト大垣だった。
「順平ちゃん。ため息って1回つくたびに肌年齢が1つあがるらしいよ。」
「・・・嫌なこと言わないでくださいよ・・・」
「でっ、今回はどうしたの?」
先ほどのやりとりを大垣に話す順平。
「・・・というわけなんです。まったく最近の若いものは・・・」
順平の話を聞いて苦笑いする大垣。
「うーん、角度か。息子の算数の宿題にも出てるけど難しいよね。サイン・コサイン・タンジェント・・・」
「大垣さん、そんな話どうでも良いですから!!」
「相変わらずジョークが通じないねぇ。」
大垣のボケをピシャリと遮る順平。
少し寂しそうな顔をする大垣。
そして2人の会話は続く。
「で、もっと打点を上げろってアドバイスをしてたのか。」
「だってどの教本見ても『打点を高くしろ』って書いてありますから。」
それを聞いて大垣は大きなため息をついた。
「だからか・・・」
「!?」
「前々から気になってたんだけど、順平ちゃんのスマッシュも角度ないよね。やっとその原因がわかったよ。」
「え~!?」
「君は問題の根本を間違っているよ。」
ポイント
大垣がいうように、この問題の本質は別のところにあります。
スマッシュのつもりがドライブやクリアになってしまう場合の根本的な原因は、ずばりネットです。
初心者はもちろん、中級者でも何度かネットにシャトルを引っ掛けてしまうと、スマッシュの際、無意識にラケット面を上に向けるようになります。
そのため、どれだけ打点を高くして、角度をつけようとしてもつかないのです。
まずは、ネットのないところで角度のあるショットを打つ練習をして、ネットへの恐れを取りましょう。
その上でネット越しにスマッシュを打ちながら、タイミングや狙いどころを調整すれば良いのです。
打点を高くとる、というのはネットの問題を解決した後の話です。
何ごとも、問題はその大元を絶たなければ解決しませんよ。
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