どんなに優しく打っても浮いてしまうのがヘアピン。
特に実戦で打たれるスピードのある球を返そうとする場合はなおさらだ。
思い通りに飛ばないシャトルにいらだつ順平に元木は・・・
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どんなに優しく打っても浮いてしまうのがヘアピン。
特に実戦で打たれるスピードのある球を返そうとする場合はなおさらだ。
思い通りに飛ばないシャトルにいらだつ順平に元木は・・・
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ほめられたにも関わらず順平は頬をふくらませていた。
その言葉を口にしたのが・・・相手の前衛だったからだ。
浮いたヘアピンを絶好球とばかりに叩かれてしまい、手痛い失点。
もちろんパートナーを組んでくれた先輩は・・・苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「はー、またやってしまった。」
しかし、考えてみればこうなるのも当たり前だ。
練習でも浮いてしまうものを、実戦の中で浮かせないようになんてできるわけがない。
そもそも、浮かないヘアピンなんて本当に存在するのか?
だって、どんなにそっと打っても、打っていることに変わりはないじゃないか・・・
そんな疑念は、数分後に否定された。
何気なく見た隣のコート。
前衛マエストロ元木のヘアピンは、ネットをかすめるんじゃないかというほど低く決まっていた。
「も、元木さ~ん!!」
ゲームが終わるのを待って、元木に駆け寄る順平。
「そうだなぁ・・・ガットをゆるく張ったらどうだ?」
「ふざけないでくださいよ。こっちは真剣なんですから。」
「ははは、悪い悪い。」
ジュースを飲みながら教えを乞う。
やがて、話を聞いていた元木が腰を上げた。
「・・・どれ。順平、俺にシャトル打ってみな。軽くでいいよ。」
「えっ?あっ、はい。」
言われた通りにする順平。
ポンと飛んだシャトルを、元木はラケットでキャッチした。
「お前、これできるか?」
「・・・それ、できないんですよね。」
「じゃあ付き合ってやるから練習しようや。」
「いや、僕が知りたいのは・・・」
「良いから良いから。」
元木の打ったシャトルをキャッチする練習を続ける順平。
1時間ほどしただろうか。
元木ほどではないが、なんとかとれるようになってきた。
ラケット面を転がすようにするとうまくいく。
「よし、そろそろだな。コートに入りな。」
「えっ、ちょ、ちょっと元木さん。」
順平の言葉など聞かず、ネットの向こうに歩き出す元木。
「ほらっ、いくぞ。」
「あっ、ちょっ、ちょっと・・・」
ネット際、絶好のチャンスボール。
でもこういう球を浮かせてしまうのが今までだ。
どうせ今回も・・・
あれ?
順平の打ったヘアピンは浮くことなくネットぎりぎりに決まった。
顔を上げると、そこには笑顔の元木がいた。
「も、元木さん、僕・・・」
「ま、基本が大事だってことだな。」
ポイント
バドミントンを始めて数週間もすればできるシャトルキャッチ。
ただ最近では、すぐにシャトルを打つところから始めるバドミントンチームも多いようで、中級者でもできないという人がけっこういます。
この練習で身につくのはストーリーの中でもでてきた「シャトルをラケットの上で転がす感覚」。
これが身につくと、ヘアピンが浮かないだけでなく、スピンをかけることもできるようになります。
さらに、ヘアピンだけでなく、サーブのデリケートなコントロールにも効果があります。
ただ、シャトルが浮かなくなる分、より高い打点でヘアピンを打たないとネットにかかってしまいますから、注意しましょうね。
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