主導権を死守できない前衛の特徴

前衛

バドミントンのゲームにおける前衛の影響力は大きい。

前衛が流れを切ってしまうと、その瞬間から防戦一方の展開になってしまうことも・・・

順平はさりげない1プレーから、その重要さを思い知ることになる。

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持ち前の向上心と努力でメキメキと実力をつけてきた順平。

ラケットの持ち方から教えてもらっていた頃が遠い昔のことのようだ。

最近では後輩にアドバイスを求められることも多い。


今日も後輩の相談にのる順平。


「前衛は展開が速いから、瞬間の判断が大事だよ。」

「はい。」

「グリップの切り替えを速くして無理をせず自分の拾いやすい形で拾うこと。前衛のミスはゲームの流れそのものに直結することもあるからね。」

「はい、わかりました。」


自分の教えに納得する後輩を見て、少しだけ優越感が芽生える順平。

バドミントンを始めてもうすぐ1年。

ああ、僕も後輩を指導できるところまできたか・・・


ところがそこに横槍が入った。

前衛マエストロこと、元木だ。


「おう、順平。後輩に指導か?お前も偉くなったものだなぁ。」

「元木さん・・・邪魔しないでくださいよ。」


順平はあからさまに不機嫌な顔をした。

せっかく良い気分で教えていたのに・・・

そんなことに構わず話を続ける元木。


「で、何?前衛はミスしないことが大事とか教えてたの?」

「ええ、まあ、そうですけど・・・でも大切な事でしょ?前衛はゲームの流れをつくるポジションですから。」

「は~、お前、そんなこと教えてどうするんだよ。」


ため息をつく元木。

普段は温厚な順平だったが、このときばかりは感情を表に出した。


「さっきから何ですか?これまでの体験から得たことを教えてるんです。邪魔しないでください。」

「体験って・・・そんなんだからお前の前衛はダメだよ。じゃあ今からコートに入れ!」


順平の気持ちはいつも以上に高ぶっていた。

今日こそ元木さんに勝って、鼻を明かしてやる!!


これまでの経験を総動員してゲームにのぞむ順平。

やがてチャンスがやってきた。

相手がどうさばくか迷うコースに打ち込めた。

ここはヘアピンで凌ぐはず。

そこを叩けば一気に波に乗れる。


一気に前に詰める順平。


ところが・・・予想に反して元木は多少無理な姿勢ながらプッシュを打ち込んできた。

万全の体勢ではないのでスピードは遅い。

だが、完全に裏をかかれた順平は反応できなかった。


呆然とする順平に元木は厳しい口調で言った。


「ミスをしないことが流れをつくる?笑わせるな。前衛の仕事はゲームの主導権を渡さないことだ!」

ポイント

確かにバドミントンにおいて、攻撃の最前線に立つ前衛のミスはゲームの流れに直結します。

しかし、追い込まれたシーンでの無難なプレーは相手の想定内。

多少無理をしても相手の裏をかく方が有効な場合もあります。


前衛の仕事はミスをしないことではありません。

攻めのシーンで主導権を握り、それを死守することなのです。


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