試合で勝てなくなるヘアピンの練習法

ヘアピン

順平は気づいていなかった。

その練習が自分のヘアピンをますます実戦で使えないものにしていることを。

バドミントン上達のため、愚直なまでに練習を積み重ねる彼がおかしてしまったミスとは・・・

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「かーっ、相変わらずひどいヘアピンだなぁ。」

「す、すみません!!」


ゲーム練習でパートナーを組んでいた先輩からのダメだし。

タッチは遅いし、コースも悪い。

言われた通り、ひどいヘアピンだ。


「次までにもう少しマシなヘアピン打てるように練習しておけよ。」

「はい、必ず!!」


全体練習終了後、順平は仲の良い後輩に声をかけた。

球出しをやってもらうためだ。


人の良い後輩は、自分もヘアピンのレシーブ練習ができると、喜んで引き受けてくれた。

ううっ、なんて良い奴なんだ。

この恩に報いるためにも、上達しなければ・・・


後輩に打ってもらった球を打ち返し、それをレシーブする。

どこのチームでもやっているヘアピンの基礎練習。


どれくらい打っただろうか。

前衛マエストロこと、元木とまではいかないが、速いタッチでネットぎりぎりを通る良いヘアピンだと思う。


「ありがとう。そろそろ上がろうか。」


そう声をかけたとき、後ろで物音がした。

振り返ると、そこには差し入れを持った元木の姿があった。


「おう、2人とも精がでるなぁ。」

「あっ、元木さん。」


ナイスタイミング!

せっかくだから、元木のアドバイスももらっておこう。


「・・・というわけでヘアピンの練習をやってるんです。元木さん見てもらえますか?」


面倒見のいい元木のことだから、二つ返事でOKをもらえると思っていた。

だが、彼の口から出たのは・・・


「いや、見るまでもねぇよ。そんな練習今すぐやめろ。」

「えっ!?ど、どういうことですか?」

「じゃあ聞くが、めったにないシチュエーションを必死で反復練習して何の役に立つんだ?」


意外な発言に途方にくれてしまった2人。

一体、何が悪かったのだろうか。

ポイント

ネットに張り付いて、浮いたコースに飛んできたシャトルをひたすら打ち返す。

ヘアピンの基礎打ち練習によくある光景ですね。


もちろんこれはこれで、ラケットワーク、インパクトの感覚、面の角度を身につけると言う意味では有用です。

しかし・・・本当にそれだけで良いのでしょうか?

実戦の中で、前衛がネットに張り付いてヘアピンを打つシーンがどれだけあるでしょうか?


皆さんもご存知の通り、実際のゲームで使うヘアピンは、相手のドロップやカットなど、ある程度スピードのあるシャトルに対して使われます。

一本調子の球を打つ練習ばかりしていては、当然、生きた球への対応力は身につきません。


もし今回のストーリーのような基礎打ちしかやっていないのなら、すぐに実戦を意識した練習を取り入れましょう。

たとえば、実際の前衛と同じように、ネットから離れてサービスライン付近で球を受けるようにするだけでも、かなり変わりますよ。


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