ネット際の浮き球。
前衛としては絶対に決めておきたいチャンスボールだ。
だが、ストレートでプッシュしたはずなのに打球はなぜか力のないクロス。
この不可解な現象に順平は・・・
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ネット際の浮き球。
前衛としては絶対に決めておきたいチャンスボールだ。
だが、ストレートでプッシュしたはずなのに打球はなぜか力のないクロス。
この不可解な現象に順平は・・・
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「す、すみません。」
パートナーに深々と頭を下げる順平。
だが、頭の中にはハテナマークが飛び交っている。
あれ?
自分はストレートのプッシュを狙ったはずなのに・・・
でもあんなすっぽ抜けのクロスになってしまった。
打ち損ねたか!?
とりあえず気持ちを切り替えて次のラリーにのぞむ順平。
ところが!
「おい順平!お前さっきからいい加減にしろよ!!」
「す、すみませーん!!」
あろうことかまったく同じことが起こってしまった。
今度は油断でも打ち損ねでもない。
何だ、どうなってるんだ!?
まだゲームは終わっていないというのに頭を抱えてしまった順平。
そこに声をかけてきたのは、先程隣のコートでゲームを終わらせた前衛マエストロ元木だった。
「順平、へんな癖つけちまったなぁ。」
「あ、元木さん。変な癖って!?」
「まあ初心者を抜け出しかけてる奴に多いんだけどな。」
「もう、何でもいいから治し方を教えてくださいよ!!」
相変わらず余裕のない奴だ。
元木は笑った。
「左手だよ、左手。」
「えっ?左手?」
「強いプッシュを打とうと利き腕に意識が集中しすぎて、左手がお留守になってるぞ。」
「えっ?」
ポイント
バドミントンのスイングはラケットを持つ方の手だけで行われるものではありません。
もう一方の手も、重要な役割を担っています。
特にフォアハンドの場合、利き手と逆の手が支点になることで、はじめて最大のパワーを発揮できます。
ところが、この手が外に流れてしまうと体も同じ方向に流されてしまいます。
すると目線も下がるため、打点も下がってしまうのです。
これではパワーのあるショットは打てません。
結果、ストレートに打ったつもりの打球がクロスへと流れてしまうのです。
癖になってしまうとなかなか治りません。
もし思い当たる方がいらっしゃったら、早いうちに矯正するようにしましょう。
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