1本でゲームの流れそのものが変わるだけに重要なバドミントンダブルスのサーブ。
特に、攻撃力のある相手に打つサーブは難しいもの。
ショートサーブはネットにかかるリスクがあるし、かと言ってロングサーブだとスマッシュを打ち込まれてしまう。
ここぞというときの決め球がない順平にクリスが授けた妙案とは・・・
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安全かつ反撃を受けないサーブコース
「おいおい順平、まだかよ。」
「す、すみません。今打ちます。」
ゲーム終盤のミスの許されないシチュエーション。
なかなかサーブを打てない順平を相手が急かす。
結局、急かされるまま、中途半端に打ったサーブは相手の絶好球。
強烈なスマッシュを打たれてしまった。
ハードヒッターのいる相手に打つサーブは難しい。
競ったゲームの終盤ともなればなおさらだ。
練習では決められるショートサーブもここ一番ではネットに引っ掛けてしまうし、かといってロングサーブでは、さっきのように打ち込まれてしまう。
僕もクリスさんのような度胸があれば、こんなシチュエーションでも強気のサーブができるのかな・・・
そんなことを考えながら、となりのコートを見た。
サーブのクリスこと、クリス花柳のペアのゲームは今がクライマックス。
1本のミスが勝敗を決める緊迫したゲームになっている。
そんなシーンで回ってきたクリスのサーブ。
まあ、クリスさんだったらこんなシーンでも強気にショートサーブを決めてくるんだろうな。
そう思っていた。
が、しかし。
クリスは大きくラケットを振りかぶった。
えっ？ロングサーブ？
相手はチームでも指折りのハードヒッター。
フットワークも良いから、並のロングサーブではスマッシュを打ち込まれてしまう。
クリスだってそれは十分承知しているはずだ。
クリスの放ったサーブは高く高く、バックライン付近に飛んだ。
打ち込まれる！！
そう思った順平。
だが、なぜか相手が打ったのはドロップ。
スマッシュを打つつもりだったのを急遽変更したのだろう。
球に力がない。
そこを突いて攻めるクリスペア。
結局、接戦をものにしたのはクリスたちだった。
その突破口になったのは、間違いなくクリスのあのロングサーブだ。
その秘密を知りたくて、さっそくコートを出るクリスに声をかける順平であった。
ポイント
なぜ相手はスマッシュを打てなかったのか。
ポイントは2つあります。
まず1つ目は、不意を突かれたこと。
バドミントンの、特にダブルスのサーブは、ショート・ロングともに低く打つのがセオリー。
そう考えていたところに高い軌道でサーブが打たれたため、反応しきれませんでした。
もう1点はその軌道。
高く上げられたサーブは垂直に落ちてきます。
サーブに限らず、垂直に落ちてくるシャトルをスマッシュするのは難しいものです。
一般にタブーとされる高く上がったショット。
しかし、シチュエーションによっては有効な武器となるのです。
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