なぜ試合のドロップは引っかかるのか

ドロップ

スマッシュ、クリアと並んでバドミントンダブルス後衛のメインショットとも言える「ドロップ」。

練習ではきれいに決まるのに、試合になるとネットに引っかけてしまうというプレーヤーは多い。

順平もそんな1人だった。

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「あらっ?」


順平の打ったドロップは無情にもネットへ。

このミスによる失点でゲームセット。


その日の練習が終わった後も、体育館には順平の姿があった。

ミスが悔しくて、ひたすらドロップの練習をしているのだ。


スマッシュの合間に入れることでこちらの体勢を整えたり、相手のリズムを崩す大切なショット「ドロップ」。

これをミスしてしまうようでは、後衛として失格だ~。


一体何発シャトルを打っただろうか。

どれもきれいに決まっている。

もう、目をつむっていても入りそうだ。


ドロップは自分の得意なショットの1つだと思っていたが、それは間違いだ。

練習でうまくいってても、ゲームでミスをしてしまうのは練習が足りないからだ!!


指の付け根に痛みを感じる。

どうやらマメが潰れたようだ。

だが、そんなことにかまってはいられない。


もうちょっとやるか、と腰を上げた順平に声がかけられる。


「順平ちゃん、まだやってるの?もう体育館閉まる時間だよ。」


声の主は後衛のスペシャリスト大垣だった。


だが集中している順平の耳には入らない。

やれやれ、若いなぁ。

苦笑いする大垣。

そして、改めて声をかけた。


「順平ちゃん。ドロップは練習でいくらうまく打ててもダメだよ。」

「・・・どういうことですか?」

「もう少し実戦的にスマッシュ3回打ってからドロップ1回打ってみるとわかるよ。絶対失敗するから。」

「絶対・・・ですか。」

「うん、絶対。でも大丈夫。ドロップ打つ瞬間に一回息を吸ってから打つとうまくいくよ。」

「・・・僕をからかってるんですか?」

「まあまあ、騙されたと思ってやってみなよ。」


それだけ言い残すと、大垣はそそくさと帰っていった。


1人体育館に取り残された順平。

気を取り直し、大垣の言いつけを1つ1つ試す。

そして、すべてが言った通りになることに驚いたのだった。

ポイント

バドミントンはタイミングのスポーツです。

自分のタイミングをいかに守り、相手のタイミングをいかにずらすかで勝敗が決まります。

今回のドロップは、そんなタイミングを最も外しやすいショットの1つ。


通常、ドロップは他のショットにおりまぜて打ちます。

しかし、それまでスマッシュなどスイングスピードが速いショットばかり打っていると、それにつられてタイミングがワンテンポ速くなってしまうのです。

練習ではうまくいくのに、ゲームになると引っかけてしまう原因もここにあります。


これを防ぐためには、練習でも常に実戦に近いシチュエーションを想定することが重要になります。

他のショットにも言えることですので、意識していきましょうね。


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