愛用のバドミントン教本もほとんど読み終えてしまった順平。
今は、その中でどうせできないだろうと読み飛ばしていた「ハイバック」に取り組んでいる。
相手に背を向けた状態で後ろにシャトルを打つこの大技。
果たして身につけることはできるのだろうか。
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愛用のバドミントン教本もほとんど読み終えてしまった順平。
今は、その中でどうせできないだろうと読み飛ばしていた「ハイバック」に取り組んでいる。
相手に背を向けた状態で後ろにシャトルを打つこの大技。
果たして身につけることはできるのだろうか。
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・・・シャトルは、自分の狙いとは似ても似つかぬ方向へ飛んでいった。
「後ろに飛ばすなんて、こんなの無理だよ。」
順平はぼやいた。
今取り組んでいるのは、ハイバック。
奥に飛ばされ、追いつき切れないとき相手に背を向けたまま打ち返す、初心者にはかなり難易度の高いショットの1つだ。
どうにかネット際くらいまでは飛ぶようになったものの、これでは打ち込まれてしまう。
かといって、奥まで飛ばそうと力を入れれば、今のようにシャトルはあさっての方向へ飛んでいく。
「なぁもう良いか?」
球出しをしてくれていたチームメイトが面倒くさそうに言った。
これだけ長時間練習に付き合っていれば当然だろう。
そんなとき、声をかけてきたのが後衛のスペシャリスト大垣だった。
「やあ順平ちゃん。何やってるの?」
「あっ大垣さん。ご覧のとおりハイバックの練習です。」
「何やってるの・・・ハイバックの(はい、バックの)練習です・・・順平ちゃん、うまい!!」
勝手に受けて笑い出す大垣。
人が苦労しているときに・・・
不満が顔に出ないよう、必死で気持ちを押し殺す順平。
やがて、笑いの収まった大垣は、順平のパートナーに声をかけた。
「ああ、悪いけどもう1本だけ球出しやってもらえる?」
「1本ですか?まあ良いですけど。でも、さっきまで全然できなかったんですよ。」
「次でできるようになるから。できなかったら順平ちゃんがラーメンおごるよ。」
えっ?
驚いたのは順平だ。
言われたとおり、さっきまで何度やってもできなかったのだ。
それが次でなんて無理に決まっている。
「ハイバックなんてラウンドザヘッドに比べりゃ全然カンタンだって。」
「そんなこと言ったって・・・」
「いいかい順平ちゃん。まず落下点に入ったと思ったら、そこからさらに1歩左にずれるんだ。」
「・・・はい。」
「あと、僕はそこに立ってるから、落下点でスイングの準備ができたら、そのあとは僕だけを見るんだよ。」
「えっ?後ろ見ちゃダメなんですか?」
「そうだよ。ほらっ、行った行った!」
追い立てられるようにコートに入る順平。
球出しの打ったシャトルが飛んでくる。
どうせできないんだし・・・大垣の指示に従い落下点に入り・・・
順平の打ったシャトルはネットをゆうに超え、まっすぐにコート奥に飛んでいった。
えっ?できちゃったの?もしかして・・・
何が起こったのかわからず、首をひねる順平であった。
ポイント
後ろにシャトルを打つという、なんともアクロバティックなこのショット。
本来バックで取る球をフォアで打つ「ラウンドザヘッド」と並んで、バドミントンの中では中級者でも難しいプレーの1つです。
このショットを決めるコツは、まず打点をラケットを持つ側のつま先の延長線上に取ること。
これがずれてしまうと、体幹もずれてしまうので、しっかり力が乗りません。
打ち終わるまで前を見ないのも大切です。
どうしても打つ方向、打ったシャトルの行方が見たくなりますが、体をひねった状態では力が入らず奥まで飛ばせませんし、コントロールも狂ってしまいます。
習得には時間がかかるかもしれませんが、身につければ攻撃範囲を一気に広げることができますので、がんばってください!
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