ゲーム中のシーンに合わせて様々な判断とプレーが要求されるダブルスの前衛。
順平は、強く打ち返せないシーンでも、相手に主導権を渡さないためのプレーを意識しだした。
そこでまずはじめに取り組んだのがロブ。
これまでの練習が活かされたのか、習得は難しくなさそうだった。
しかし、それを見た元木は・・・
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ゲーム中のシーンに合わせて様々な判断とプレーが要求されるダブルスの前衛。
順平は、強く打ち返せないシーンでも、相手に主導権を渡さないためのプレーを意識しだした。
そこでまずはじめに取り組んだのがロブ。
これまでの練習が活かされたのか、習得は難しくなさそうだった。
しかし、それを見た元木は・・・
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バドミントンの勉強に余念がない順平。
体育館に向かう電車の中でも、参考書を読んでいる。
ページにはあらゆるところにアンダーラインが引かれているため、どこが重要なのかわからない。
今日も一番乗り。
さっそくラケットを取り出す。
練習するのはもちろんロブだ。
意識するべきポイントは2つ。
しっかり奥に飛ばすことと、素早く次のプレーに移れるようバランスを崩さずに打つことだ。
フォア、バック、それぞれで何本か打ってみる。
思ったより良い感じだ。
これも普段の練習の賜物だろうか。
もう少し練習すれば実戦でも十分役に立ちそうだ。
1人、また1人と顔を出すメンバーたち。
今日は出席者が少なそうなので、コートを長く使えそうだ。
しばらくして、よく知った声が聞こえてきた。
「よう、順平。今日も早いなぁ。ん?ロブ練習してるの?」
「あ、元木さん。そうなんです。結構良い感じですよ♪」
少し得意げな順平。
だが、元木は少し首を傾げた。
「ふーん・・・良い感じ、ねぇ・・・」
「はい。これだけしっかり飛ばせれば、体勢を立て直すまでの時間が十分に稼げます。」
「順平にとってロブは時間稼ぎなんだ。」
「あの、僕何か間違ってます?」
元木は難しそうな顔をした。
どう説明して良いかわからないようだ。
しばらく考えてから口を開いた。
「今日のゲーム練習、俺たちと対戦しようぜ。」
「はぁ、まあ構いませんけど。」
基本練習が終わり、いよいよゲーム練習が始まる。
ネットを挟んで、向かい合う順平と元木。
これまで何度もコテンパンにされているが、今日はせめて一矢報いたいところだ。
ゲーム中盤、カットショットで攻撃を仕掛ける順平ペア。
並の相手なら返すので精一杯だろう。
だが元木ならこれくらいで攻撃の手をゆるめはしないだろう。
そう思い、ヘアピンを読んで前に詰める。
予想通りヘアピンを打つ体勢に入る元木。
よし、押し込める!
プッシュの体制に入る順平。
だが、次の瞬間、ラケットを返して、低い軌道のロブを打ってきた。
シャトルは、順平の頭上を超えて、前に詰めたことで空いたスペースにポトリと落ちた。
勝てるとは言わないまでも、良い勝負ができるのではというわずかな期待は粉々に打ち砕かれた。
動揺する順平に元木はネット越しに言った。
「高く奥まで飛ぶロブを練習することは間違いじゃない。でもな・・・」
「元木さん・・・」
「お前頭固いよ。ロブが守りのショットなんて誰が決めたんだ?」
ポイント
バドミントンには流れがあります。
当然、攻められる時もあれば、体勢を立て直さなければいけない時もあります。
一般に、落ちるショットで崩された体勢を立て直すために使われるロブ。
どちらかというと守備的なショットと思われています。
しかし、これも使い方によっては立派な攻撃のための武器になります。
今回取り上げたロブに限らず、どんな状況でも攻めに転じることができないか考えてみましょう。
その意識が、実際のプレーでも、メンタル面でもゲームを有利に進めてくれます。
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