バドミントンを始めて半年、今が伸び盛りの順平。
つまづくことも多いけれど、常に挑戦して新しいことを吸収し続けている。
最近、スマッシュの威力だけでは通用しないことを感じ始め、相手の裏をかくことを考えるようになった。
そんな順平に、後衛のスペシャリスト大垣は・・・
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バドミントンを始めて半年、今が伸び盛りの順平。
つまづくことも多いけれど、常に挑戦して新しいことを吸収し続けている。
最近、スマッシュの威力だけでは通用しないことを感じ始め、相手の裏をかくことを考えるようになった。
そんな順平に、後衛のスペシャリスト大垣は・・・
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「えっ?コーヒーですか?スポーツドリンクじゃなくて。」
「嫌だなぁ。そんなの子どもが飲むものだよ。大人たるもの高品質(コーヒンシツ)なコーヒーをたしなまないと。」
(そのオヤジギャグをいうために、この暑い中ホットコーヒー持ってきたの?)
順平は心の中で突っ込んだ。
コートに入れば、泣く子も黙る後衛のスペシャリストと同一人物とはどうしても思えない。
午後の練習が始まったというのに、順平はシャトルも打たず、体育館の隅に座り込んでいた。
自分の課題と向き合っているのだ。
以前よりずっと強いスマッシュが打てるようになった。
だが、まだまだ人並み。
ハードヒッターの打つような一撃必殺のショットは打てない。
もちろん、ショットの威力はもっともっと上げていかなければいけない。
しかし、そんなことがすぐにできれば苦労はしない。
だったら・・・相手の裏をかくしかない。
いつになっても参加してこない順平を見て心配になったチームメンバーが声をかけてきた。
「順平、どうした?もう練習始まってるぞ。」
「あ、先輩すみません。すぐ行きます。」
「何か悩みでもあるのか?俺で良ければ聞くぞ。」
「ありがとうございます。実は後衛の攻撃にもっと幅を持たせようと思いまして。」
「へぇ。」
「ただ、具体的な対策としては、コースの打ち分けくらいしか思い浮かばないんです。」
「だったら大垣さんのプレーを見るといいよ。コースもそうだけど・・・もっと面白いものが見られるぜ。」
「もっと、ですか?」
コートに目を移すと、ちょうど大垣がゲーム練習に入るところだった。
ラケットをクルクル回す仕草には、自信が満ち溢れている。
そして、いよいよゲームが始まろうとするところで、とんでもないことを口走った。
「今日は全部ストレートのスマッシュで打つからよろしくね♪」
その後、大垣が打ったのはすべてスマッシュ。
だが・・・相手ペアは対応できない。
ゲームはあっという間に終わってしまった。
首を捻ったのはそれを外から見ていた順平だ。
相手ペアだってチームではうまい方なのに、コースを予告されたのに手も足も出ないなんてどういうことだ?
それからしばらくして、順平は大垣がチームメイトと楽しそうに話をしているのを見つけた。
話しているのは、先ほどのゲームで対戦していた相手のようだ。
「いやぁ大垣さん。今回はやられました。」
「僕の魅力に?ちょっと照れちゃうなぁ。でもダメだよ。妻も子どももいるんだから。」
「・・・でも不思議ですよね。コースはわかってたのに全然返せないなんて。どうすればあんなことができるんですか?」
「君たち、速いスマッシュがくると思って身構えていたらゆっくりでタイミングが取れなかったんじゃない?」
「はい。」
「あれは、打つ瞬間ちょっとだけラケットを引いてインパクトを遅らせているんだ。」
「なるほど~。」
聞き耳を立てていた順平は大きくうなづいた。
コースのことばっかり考えていたけれど、こんな裏のかき方もあるんだなぁ。
大垣たちの会話は続く。
どうやら順平が聞いていることには気づいていないようだ。
「あともうひとつ、すっごく大事なことがあるんだけど知りたい?」
ゴクリとつばを飲む順平。
もしかしてものすごい極意なのか?
そして大垣はゆっくりと口を開いた。
「バドミントンをするときは・・・ミントのキャンディをなめるといいよ。バドミントン、ミントン、ミント・・・ギャハハハハハハ。」
自分で言って笑い転げる大垣。
どうやら彼なりの傑作ダジャレができたようだ。
ようやくズッコケている順平に気づく大垣。
「あれ?どうしたの順平ちゃん?つまづいた?」
あなたの寒いダジャレに、とは言えない順平であった。
ポイント
バドミントンで相手の裏をかくテクニックとして、コースと同じくらい重要なのが、タイミング。
今回ご紹介したのは、ラケットの面を少し引いてワンテンポ遅らせるフェイントですが、上級者だと、逆に面を押し出してワンテンポ進めるフェイントも使います。
比較的難易度の高いテクニックですが、身につけることでプレーの幅を広げることができます。
また、たとえ今はできなくても頭に入れておくだけで、相手のフェイントにも対応できるようになりますし、上達速度も上がりますよ。
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