より拾いにくいサーブリターンのコツ

サーブリターン

個性的な先輩に揉まれる社会人バドミントンチームの新人 順平。

人よりゆっくりでも、着実にうまくなっている。

取り組んでいたサーブリターンも少しずつ良くなってきている。

そんな彼に声を掛けるのは・・・

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「順平君、いいサーブレシーブをするようになったよね。」

「あ、ありがとうございます。これも皆さんのご指導のおかげです。」

「いやぁ、厳しいサーブを打っても安易なレシーブをしないんだから大したものだよ。」

「えっ?本当ですか?自信持っちゃうなぁ。」

「こりゃ、サーブリターンの達人の称号も近いうちに順平君のものになるのかな。」


仲の良い先輩と談笑する順平。

そこまでイケてるとは思っていないが、やはり褒められて嫌な気はしない。


「僕、うまくなってきたのかな・・・」


それは誰にも聞こえないほど、小さな小さな独り言だった。

誰にも聞こえていない・・・はずだった。


その日何度目かの休憩時間のことだった。


「新人君、救いようのない下手さは少しはマシになった?」


いきなりこんなことを言ってくるのは、このチームで1人しかいない。

サーブレシーブの達人、ミチルだ。

順平は少しムッとした。


「ミチルさん、こんにちは。どうです?今日のゲーム練習、僕と対戦しませんか?」

「何?ワタシに反抗しようっての?」

「いえ、とんでもない。ミチルさんの指導の成果を披露しようと思いまして・・・」

「ふーん、おもしろいじゃない。でもアンタごときに本気だしたら大人気ないから、50%の力で打ってあげるわ。」


順平は燃えていた。

手加減だと!?僕だってうまくなったんだ。

絶対に一泡吹かせてやる!


ゲームは順平のサーブで始まった。

ミチルにロングサーブは絶対に通用しない。

となれば、徹底的にショートサーブで攻めるのみだ。


どんなに厳しいコースをついても平然と返してくるミチル。

さすがサーブリターンの達人だ!


しかしどうしたことか、シャトルにいつもの勢いがない。

まさか、本当に手加減しているのか?


ミチルのゆるいリターンは続いた。

だが、なぜか順平たちはまったく取れない。

結局、一度も流れをつかむことができず、コテンパンにのされてしまった。


ゲーム後、順平はミチルを捕まえた。


「ミチルさん、ラッキーでしたね。」

「ラッキー?」

「ミチルさんのリターンが、偶然サーバーの影に入って一瞬見えなくなることが多かったんです。でなきゃ、あんなゆるいリターン・・・」


それを聞いたミチルは不気味な笑みを浮かべた。


「そんな偶然、そう何度も続くと思う?おバカさん。」

「えっ、まっ、まさか・・・」

「サーブリターンがうまいというのはこういうことよ。『僕、うまくなってきたのかな・・・』ですって?笑わせるわ。」

「えっ、聞いてたんですか?」

「6兆年早いわ!!」


(・・・僕、長生きしなきゃなぁ。グスン。)


少しだけ芽生えた自信を粉々に打ち砕かれた順平であった。

ポイント

ミチルさんが突いたのは、サーブを打った直後、トップ&バックの体勢を取る際に生まれる死角。

ダブルスならではのテクニックです。


今回ご紹介した相手サーバを遮蔽物にするのはほんの一例。

ほかにも、パートナーを使って球の出どころを隠したり、利き腕と反対の手やひじをつかってラケットの面を隠すなど、さまざまな方法があります。


かなりの高等テクニックですが、身につければサーブリターンはもちろん、さまざまなシーンでゲームを有利にするプレーができるようになりますよ。


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