教え子に失敗から学ばせる方法

練習

「失敗は学びのチャンス」

ということがよく言われます。

たしかにその通りだとは思うのですが、失敗や過ちをするというのは、誰だってあまり気分の良いものではありません。

でも、もし教え子が失敗を素直に受け入れることができるようになったら・・・。

それではストーリーをどうぞ。

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夏休みのある日。

岡崎は・・・今日も学校にいた。

もしかして、ワーカーホリック?

そんなことを考えて岡崎は苦笑した。


エアコンの効いた職員室で書類の整理をして、夏休みの日課となった散歩に出た。

今日はバドミントン部は休みなので、男子バスケット部が体育館を使っていた。


「おう、岡崎。今日はバドミントン部は休みか?」

「学校では『先生』をつけろ。」


声をかけてきたバスケ部顧問の古文教師 小暮は岡崎と同い年。

仲がよく、プライベートでも交流がある。


「で、どうだ?バスケ部は。」

「ああ、いい感じだ。・・・ただ、ひとりを除いてはな・・・。」

「ひとり?」


そう言って小暮が視線を送った先には、何度も基本のシュート練習を繰り返す小柄な男子の姿があった。

シュートはなかなか決まらない。


「高校に入ってからバスケを始めた奴でがんばってはいるんだが、あれじゃ試合にゃ出せん。」


額に汗を浮かべ、真剣な顔で練習に打ち込んでいる。

小暮の話は続く。


「人一倍がんばっているんだが、何度『違う』って言っても身につかないんだ。注意するとできてたことまでリセットされちまう。」


小暮の話を黙って聞いていた岡崎は、突然スタスタと歩き出した。

そして、男子生徒の後ろに立つと、一言だけ声をかけた。


「うーん、惜しいな。」

「え?」


それから10分後。

彼の放ったシュートは、見事に決まったのだった。

ポイント

失敗を指摘されると、人はそれを隠そうとしたり、なかったことにしようとする傾向があります。

極端な話、それまで積み上げてきたものまでリセットしてしまうんですね。


それに対して、「惜しい」という言葉を投げかけられると、人はなにがいけないのかをピンポイントで探そうとします。


もちろん、しっかりと「違う」という言葉で間違いを指摘しなければいけないシーンもあります。


でも、もし教え子が間違いを次に活かせるようにしたいと考えているのなら・・・

一度使っても損のないテクニックです。


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