指導がうまく伝わらないときの改善策とは?
指導
自分の話がちゃんと教え子に伝わっているか。
指導をするという立場に立つ人だったら、誰でも気になりますよね。
どうすればあなたの話はもっと伝わるでしょうか。
1.聞きやすいように大きな声でゆっくりはっきり話す
2.もっと分かりやすいように話すことをきちんとまとめる
3.どうせ一度では伝わらないのだから何度も話すようにする
どれも間違ってはいないのですが、大切なことが抜けています。
これが抜けていては、どんなに話の内容に磨きをかけても効果はありません。
それではストーリーをどうぞ。
バドミントン部の顧問をやることになったときはどうなるかと思ったけど・・・
苦労もあったけれど、よくここまでこれたなぁ・・・
岡崎が、そんなことを考えていると、いきなり後ろから呼び止められた。
「先生、1年生が今ひとつキチンと話を聞いてくれないような気がするんです。どうしたらいいですか?」
なんの前置きもなしに本題を切りだしてきたのは、バドミントン部の2年 大谷だ。
1年の頃から、周りをまとめるリーダー的なところがあって、次の部長候補として名前があがっている。
ゆっくりと振り返る岡崎。
そして、大谷の目をじっと見ながらゆっくりと口を開いた。
「もうすぐ1年の指導計画の提出日だけど大丈夫か?」
「え?あ、は、はぁ、大丈夫です。」
「ん?どうした大谷。」
「いや、別に何でもありません。」
ごくごく普通のやりとり。
だが、岡崎は大谷のわずかな表情の変化を見逃さなかった。
「いきなりなにを言い出すんだって顔だな。」
「え!?」
「別に怒ったりしないから安心しろ。いきなりあんなこと話されたら誰だって混乱するよな。」
「は、はぁ。」
怒ったりしないと聞き、安心した表情を見せる大谷。
それを見届けた岡崎は話を続けた。
「なあ大谷。お前の話の前に、ちょっとだけ次の大会の話をしたいんだけどいいかな?」
「はい、どうぞ。」
そのまま大会のことについて話すと思った大谷。
だが、岡崎はそこで話を切った。
「何か気づかないか?」
「え?」
「今は何を言い出すんだって思わなかったよな。」
「はっ、そういえば。」
開いた口がふさがらない大谷。
岡崎は話を続ける。
「何が違うかわかるか?」
「・・・わかりません。」
「カンタンだよ。『こんな話をしたいんだけど、いいかな?』って許可を取っただけだ。」
「・・・」
「誰だって話を聞くのには準備がいる。でもお前はそのための間を取らない。それがどういうことかわかるか?」
ポイント
ストーリーでは少し極端な例を紹介していますが、決して人ごとではありません。
形は違えど、バドミントンに関する活動の中で、そして日常で頻繁に起こっていることです。
どんなボールだってキャッチできる守備の名人でも、準備ができていなければ捕れません。
これと同じで、相手を聞く態勢にさせなければ、どんなに大切な話を、どんなに分かりやすく話したとしても伝わりません。
また、相手に話をする許可を求めることは、相手を尊重する姿勢を示すのにも効果的です。
「●●の話をしたいんだけどいい?」
相手が教え子だったり、親しい人だとつい省いてしまう一言。
しかし、この一言があなたの指導の行方を決定づけるのです。