チームに希望をつくる指導者とは?
チーム
あなたのチームはどんなチームですか?
教え子たちが熱意を持ってバドミントンに打ち込んでいますか?
良いチームには「希望」があります。
たとえ今、どんなに強いチームであっても、希望がなければそれ以上の発展は望めません。
「少しくらいつらくたって、このチームだったらがんばれる。」
「このチームでバドミントンをするのが楽しくて仕方ない。」
教え子たちがそんな気持ちを持てるように、チームに希望をつくるのは指導者の大切な役割です。
さっそく「チームの希望」を探しにいきましょう。
それではストーリーをどうぞ。
授業が終わって教室を出る岡崎。
廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
バドミントン部 副部長の三橋だ。
「先生。」
「おう、三橋。調子はどうだ?」
「まあまあです。」
「そうか。」
会話が終わったにも関わらず、岡崎の後をついてくる三橋。
人がいなくなるのを待って、三橋が口を開いた。
「あの、先生。どうしたら先生みたいにチームをもり立てることができるんですか?」
「うーん、難しい質問だなぁ。」
「俺、このチームを部員全員が入って良かったと思えるチームにしたいんです。」
「へぇ、すごいな。で、お前はどう思うんだ?」
「僕が頼りがいのある副部長になることだと思います。」
「なるほど。で、どうすれば頼りがいのある副部長になれるんだ?」
「それはもちろん人一倍練習してうまくなって、バドミントンのことはなんでも知ってて・・・」
得意げに自分の持論を展開する三橋。
残念ながら三橋の腕前は、3年生の中で一番下なのだが・・・
三橋の話に耳を傾ける岡崎。
そして話が終わるのを待って、とんでもないことを言い出した。
「実は俺さ、バドミントンのルール全部覚えてないんだよ。」
「え!?」
「っていうか俺がシャトル打ってるの見たことある?」
「・・・」
あっけに取られる三橋をよそに、岡崎は話を続ける。
「俺さ、技術も知識もまだまだだけど、ひとつだけどんな一流コーチにも負けないと思っていることがあるんだ。」
「な、なんですか?」
「お前らに期待しているってことだよ。『こいつらだったら必ずやってくれる』ってな。」
「!?」
「頼りがいのある副部長になるのも大切だけどな。やっぱり自分に期待してくれる先輩って良いと思わないか?」
三橋の頬を涙が伝う。
まさか泣かれるとは思わなかった岡崎は、動揺して窓の外を見た。
そして一言だけ声をかけた。
「お互い、がんばろうな。」
ポイント
ある調査によると、希望のある職場に必要なことのランキングは、以下の順位になったそうです。
1位:自分に期待してくれる
2位:自分の能力や努力を評価してくれる
3位:心配や悩みが相談できる
全ての相談をうける余裕はないかもしれません。
また、全員の能力や努力を全て把握して、正しい評価をすることもできないかもしれません。
それはどんなに優れた指導者でも同様です。
しかし、「期待している」というメッセージを送りつづけることはできますよね。
もちろん知識や技術も、指導者にとってとても大切なものです。
しかし、どんなに素晴らしい内容でも、チームがそれを受け入れられる状態でなければ、穴の開いたバケツに水を注ぐようなものです。
普通のコーチの場合、【チームを強くする】方法を追求します。
しかし、一流のコーチは、【チームが強くなる】方法を追求するのです。