やる気がない態度の本当の理由とは?

コーチ

チームのメンバーに、何かと理由をつけて行動に移さない教え子はいませんか?


こちらが情熱を持って教えているときに、そんな態度を取られたら正直ムッとしますよね。


気持ちはわかります。

でもここで一流と呼ばれるコーチが感じるのは、怒りでもストレスでもありません。


さっそく「一流コーチが感じるもの」を探しにいきましょう。

それではストーリーをどうぞ。

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練習を早めに切り上げさせ、職員室に戻ってきた岡崎。

今日は早く帰れそうだな。

帰り支度を済ませ、職員室を出ると背後から岡崎を呼ぶ声がした。

バドミントン部の岸田だ。


「先生。」

「おう、岸田か。皆はもう帰ったのか?」

「あの、今度の大会でコンビを組む七瀬なんですけど。」

「うん。」

「新しいフォーメーションを使おうって提案したんですけど。何かと理由をつけて断られちゃったんです。」


2年の七瀬は、バドミントン部随一の理論派だ。

説得力のある話術で先輩でも納得してしまうことが多い。

今回もお得意のトークで丸め込まれてしまったようだ。


「なるほど。で、七瀬は何か案を出したのか?」

「それが消極的な案ばかりなんです。やる気がないのかなぁ。」


なるほどね。

岡崎は小さく頷いてから話を続けた。


「お前先輩なんだから怒鳴りつけてやったらどうだ?」

「ちょ、そんなの人権侵害ですよ。」

「じゃあどうしたいんだ?」

「やっぱりきちんと話をして・・・」

「えらい消極的な方法だな。」

「だ、だって・・・」

「『怖いから』、だろ? お前、人を怒鳴ったことなんてないもんな。」


核心を突かれた岸田の肩がビクリと跳ね上がった。


「誰だって苦手なことや新しいことは怖いものさ。でもそれを『やる気がない』で片付けるのはあまりに残酷だよな。」


岡崎はニッコリ笑って、岸田の肩を叩くのだった。

ポイント

いかがですか?

一流コーチの感じるもの、お分かりいただけましたでしょうか。


新しいことへの不安や恐れは、決して悪いものではありません。

人を危険から守るために備わった防衛本能です。


正直にそれを口に出してくれれば良いのですが、本人も含めてなかなか防衛本能のブレーキに気付くことができません。


もしこんな教え子がいたら、やることは叱咤激励ではありませんよね。

そう、不安をひとつひとつ取り除くことです。


やる気がない人と怖くて動けない人。

同じように止まってはいても、そこには大きな差があります。


一流のコーチとは、正しく症状を見抜き、正しい処置のできる名医なのです。


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