やる気の出る励まし 出ない励まし

メンバー

最近では、5月病を乗り切った新人が6月にかかる「6月病」がはやっているそうです。

5月病、6月病というと社会人の話だと思われがちですが、バドミントンプレイヤーだって人ごとではありません。

また、チームの幹部になるなど、環境の変化があればベテランメンバーでも6月病にかかります。

あなたは、こんなメンバーにどんな声をかけますか?

こんな時、指導者がかける一言は、あなたが思っている以上に、大きな影響力を持っています。

それではストーリーをご覧ください。

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天気予報が梅雨入りを宣言した6月。

3日続きの雨でグラウンドが使えないため、放課後の廊下には筋トレに励む陸上部員があふれている。


職員室で今日やった抜き打ちテストの採点をしていた岡崎。

肩こりを感じて大きく伸びをした。


「あの、先生、すみません・・・」


ビックリして振り返ると、そこには部長の岸田が立っていた。

どうやら、声をかけそびれてずっと立っていたようだ。


「岸田か。用があるなら遠慮せずに声かけろよ。」

「す、すみません。」

「で、どうしたんだ?」

「1年の木村なんですけど、最近やる気が出ないみたいなんです。」

「そうか。で、どうしたんだ?」

「『頑張れよ』って励ましました。」


6月病か。

もう、そんな季節になったんだな。

しばらく感慨にふけった後、岡崎は口を開いた。


「お前さ、部員全員に気を配らなきゃいけないと思ってないか?」

「もちろんですよ。部長ですから。」

「それってしんどくないか?」

「そりゃしんどいですけど、部長なんだからやらなきゃ。」

「じゃあ、もしお前が今、部長じゃないとしたら、気をつかわなくても良いよな。」

「うーん、確かにそうなんですけど・・・でもやっぱりバドミントン部が好きだから、気配りは続けたいと思います。」


その言葉を聞いた瞬間、岡崎の目がキラリと光った。


「気分はどうだ?」

「そういえば・・・やらなきゃって思ってた時はしんどかったけど、やりたいって思ったら楽になった気がします。」


それを見た岡崎はさらに言葉を続ける。


「うん、『やらなきゃいけない』ってしんどいよな。じゃあ、しんどいのにもっと頑張れって言われたらどうだろう?」

「こんなにしんどいのにもっと頑張らなきゃいけないのかって思っ・・・あっ!」


岡崎の言葉に、自分のかけた言葉の意味を知った岸田であった。

ポイント

「頑張る。」

「頑張れ!」


元気の出る励ましの言葉に聞こえますが、相手の受け取り方次第では、むしろ逆効果になります。

そう、落ち込んでいる教え子に指導者がかけるべきなのは、励ましの言葉ではないのです。


メンバーの言葉に耳を傾けてみましょう。

「僕は●●するべきだ。」

「わたしは●●しなければいけない。」


といった言葉が目立つようであれば要注意です。

責任感があることは良いことですが、これが積み重なると窮屈を感じて、やる気が奪われてしまいます。


「●●しなければいけないと思っていないか?」

「●●しなくて良いとしたらどうだろう?」


この2つの問いかけは

「●●しなければいけない」を「●●したい」に変える大切なキーワード。


それまで自分を苦しめていたものが、逆にやる気を出すものに変わっていくのです。


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