覚えたてのショットを早く使いたい社会人チームの新人メンバー順平。
しかしその前に「前衛マエストロ」元木が立ちはだかる。
順平は勝つことができるのだろうか・・・
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バドミントンダブルス ヘアピンのポイント
少しずつ前衛の攻撃を練習しだした順平。
壁打ちやレシーブなど、基礎練習ばかりやっていたので、直接攻撃に絡むことを練習するのは楽しい。
今日のゲーム練習ではバンバン点を取ろう！
やる気に燃えてコートに入った順平。
ペアを組んだ先輩からの指示は2つ。
1. 浮いた球はためらうことなくプッシュで決める
2. プッシュが打てないときはヘアピンで相手に上げさせる
そしてゲームは始まった。
相手はチーム内で「前衛マエストロ」と呼ばれる元木ペア。
隙あらばプッシュで1点と意気込む順平。
だが、そうそうチャンス球は上がらない。
そこで覚えたてのヘアピンを打つのだが、相手は上げてくれない。
それどころか強打を打ち込まれてしまう。
それとは対照的に、元木ペアの攻撃は良いリズムを刻みつづけた。
ちょっとでも甘い返球をすればプッシュを押し込まれる。
プッシュが打てなくても、スピンネットやクロスネットで揺さぶってくるので攻撃に移れない。
元木ペアの圧倒的なリードでインターバルに入った。
疲れきった順平に、本木が声をかけてきた。
「よう、どうしたい？ヘアピン、全然決まらねえじゃねえか。」
「元木さんはやっぱりすごいですね。プッシュもネットプレーもバンバン決めて。」
「はっはっは。もっと褒めて良いぞ。」
「僕、ヘアピンしか打てないし、元木さんみたいにスピンネットやクロスネットを覚えないとダメですね。」
その一言を聞いた瞬間、ニヤニヤしていた元木の顔がひきつった。
そして、急に真顔になって話をつづけた。
「じゃあ今からヘアピンだけでやってやるよ。これなら条件は同じだろ？」
「えっ？」
「本当にヘアピンしか覚えてないから決められないのか、よ～く考えてみな。」
再開されたゲームで元木は、予告通りネット際ではヘアピンしか使わなくなった。
決定力が落ちるどころか、返すこともままならない。
元木の底力にお手上げ状態の順平たち。
そして順平は、ペアを組んでくれた先輩の一言ですべてを悟った。
「はっ、速い。」
自分と元木のヘアピンの決定的な差。
それはスピードだった。
自分のヘアピンはタッチが遅く、低い位置から打たれるためネットを越えるのに時間がかかり、その間に打ち込まれていた。
しかし、元木のヘアピンは、こちらが打ったとほぼ同時に返ってくる。
「これが・・・マエストロの実力か。」
そうつぶやいた順平の脳裏に、元木の高笑いが響くのだった。
ポイント
バドミントンダブルスで、前衛による攻撃の軸となるのがプッシュによる強打。
ヘアピンはプッシュが打てないときなど、相手に上げさせるための補助的なショットと位置づけられています。
しかし、今回のストーリーのように、スピードに乗ったヘアピンを厳しいコースに打てれば、それは武器に変わります。
ただ、どれだけ良いヘアピンでも相手に読まれていれば返されてしまいます。
プッシュで打つと思わせて、相手が下がったところに落とす、というような工夫を忘れてはいけません。
その逆もまた然りです。
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