燃料を入れてアクセルを踏めば動く機械と違って人間には波があります。
これを高いレベルで保つのは一流の選手や指導者でも難しいことです。
バドミントンプレイヤーだって1人の人間ですから、例外ではありません。
やる気の波は人それぞれ。
原因も解決方法も人の数だけあります。
その一例として、このストーリーをご覧ください。
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燃料を入れてアクセルを踏めば動く機械と違って人間には波があります。
これを高いレベルで保つのは一流の選手や指導者でも難しいことです。
バドミントンプレイヤーだって1人の人間ですから、例外ではありません。
やる気の波は人それぞれ。
原因も解決方法も人の数だけあります。
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イスに座るとドッと疲れが吹き出てきた。
まだまだ若いつもりだが、やはり高校生達には敵わない。
お茶を2杯飲み干して、ほっと一息ついたところでノックの音がした。
ドアを開けて入ってきたのはバドミントン部 1年の松田である。
「先生、ちょっと相談に乗っていただきたいんですけど。」
「相談?」
「最近、やる気が出ないんですけど何か良い方法はありませんか?」
松田はチーム一の気分屋だ。
やるときはやる男だが、確かに最近は気乗りしていないように見える。
岡崎は小さくため息をついたあとで口を開いた。
「お前、今誰と練習してるんだっけ?」
「同じ1年の小関ですけど、それが何か?」
「小関はどうだ?」
「いい奴だし、実力も同じくらいでやりやすいですね。」
「そうか。よし、明日から一週間、金田とやれ。金田には俺から話しておいてやるよ。」
「金田先輩と、ですか。そりゃかまいませんけれど、僕が知りたいのは・・・」
「まあだまされたと思ってやってみろよ。」
「は、はあ。」
1週間後。
岡崎は練習の終わった松田に声をかけた。
「どうだ、練習は?」
「あ、先生。もうメチャクチャきついですよ。金田先輩、すごく厳しいから一瞬も気を抜けないんです。」
「そうか。」
「でも金田先輩の気迫に触れると見習わなきゃって思うんですよね・・・最近は毎日一番に来て準備をしてるんですよ。」
疲れた顔をしながらも、どこか誇らしげな顔で話をする松田を見て、
岡崎はニヤリと笑った。
「一週間前と比べてどうだ?」
「え?」
「お前、一週間前とは比べものにならないくらい頑張ってるじゃないか。」
「あ、確かに。」
松田が納得している様子を見た岡崎は言葉を続けた。
「誰だってやる気のでないときはある。だらけてしまうのは仕方のないことさ。」
「・・・」
「だからそういうときは環境を変えるんだ。やる気がある奴を見て、そいつと同じことをすればいいのさ。簡単だろ?」
「うーん、そんな気がします。」
「極端に言えば、『やらざるを得ない状況を作る』ってことだな。例えば、誘惑に弱いんだったら誘惑になるようなものを全部取り払ってしまう。そうすりゃ、嫌でもやるだろ?」
岡崎は大きくうなずく松田の肩をポンと叩いた。
ポイント
人間には、「まず何よりも目先の痛みを避け、目先の快楽を求める」という動物としての本能が備わっています。
特に「痛みを避ける」というのは、危険回避に直結したとても強い本能です。
やる気を保つのが難しいのはこのためです。
そのため、周囲の人が気をつかって励ましてくれても、一時的には心が動くけれど少し時間が経つと結局元に戻ってしまいます。
そう、最終的に自分のやる気を取り戻すことができるのは自分だけなのです。
しかし、やる気は出そうと思って出せるものではありません。
シャトルがラケットで打たなければ飛ばないように、【環境】がなければ出ません。
そしてこの環境は、作ろうと思えば自分で作れるものなのです。
作家には、わざわざ遠方のホテルに閉じこもって執筆をする人が大勢います。
プロスポーツ選手がわざわざ海外で合宿をするのも同じです。
このように一流と呼ばれる、強い精神力を持った人たちでさえ、自分のモチベーションを保つために様々な工夫をしているのです。
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