一流の指導者はコミュニケーションも一流です。
バドミントンが個人競技だとしても、チームで活動している以上、その重要性に変わりはありません。
コミュニケーションをとるために指導者が取るべき第一歩は「聴くこと」です。
でも、相手の言うことを一言一句もらさず暗記するほど注意深く聞いても「あるポイント」が抜けていると、相手に全く聞いていないのと同じ印象を与えてしまうんです。
それではストーリーをご覧ください。
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一流の指導者はコミュニケーションも一流です。
バドミントンが個人競技だとしても、チームで活動している以上、その重要性に変わりはありません。
コミュニケーションをとるために指導者が取るべき第一歩は「聴くこと」です。
でも、相手の言うことを一言一句もらさず暗記するほど注意深く聞いても「あるポイント」が抜けていると、相手に全く聞いていないのと同じ印象を与えてしまうんです。
それではストーリーをご覧ください。
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ようやく一区切りついて時計を見ると、そろそろ部活の時間。
「さて、そろそろ行くかな。」
イスを立とうとすると、ドアがノックされ一人の少年が入ってきた。
バドミントン部の部長、岸田である。
入ろうか入るまいか、ずいぶん長い時間迷っていたようだ。
ゆっくりと岡崎に近寄ってきた。
「先生。」
「おう、岸田。呼びに来てくれたのか?」
「先生、実はちょっと相談が...。」
「ん?珍しいな。どうせ誰もいないし、まあ座れよ。」
元気で誰にでも優しく人望があり、今年キャプテンになってからは人一倍頑張ってチームをまとめている。
岡崎も特に熱を入れて指導している生徒の1人だ。
「俺、聞いちゃったんです。」
「ん?何をだ?」
「トイレで後輩たちが、俺のこと『話を聞いてくれているのか分からないって。』」
生真面目な性格の岸田らしい悩みだ。
家族ですら会話をしないことが増えているというのに。
「先生、俺、何か悪いところがあるんでしょうか。」
「うーん、俺が見たところよくやってると思うけどな。面倒見もいいし。」
「でも・・・。」
「そうだなぁ。じゃあ昨日後輩とどんな話をしたか教えてくれよ。」
「ええと、2年の村木が新しいラケット持ってきたって話しかけてきたんで褒めました。」
「どんな風に?」
「いや、カッコいいなって」
「他には?」
「いや、それで終わりですけど。」
なるほどね。
岡崎は机の上に置いてあったコーヒーを一口すすってから話し出した。
「岸田、お前、自分の持ち物褒められるのと、自分が褒められるの、どっちがいい?」
「はい?」
「例えばさ、お前のラケット褒められるのと、お前にそのラケットが似合ってるって褒められるの、どっちがいい?」
「そりゃ、もちろん・・・あっ!?」
どうやら気づいたようだな。
岡崎は最後に付け足した。
「褒めるとき以外でも同じだよ。モノじゃなくて人のことを『聴く』ように意識すれば。」
「やっぱり、俺、ちゃんと話聞いてなかったのかも知れないです。先生、ありがとうございました。」
何度もうなづきながら職員室を出る岸田を見送った後、ゆっくりと部活の準備を始める岡崎であった。
ポイント
人の話を聴くということが、内容の把握だけではないことがお分かりいただけましたでしょうか。
ちょっと例を広げてみましょうか。
■昨日、面白い本を読んだんですよ。
回答A:「へえ、なんていう本?」
回答B:「へえ、で、読んでみてどうだった?」
いかがですか?
Aだと、本にしか興味がないように聞こえませんか?
Bだと、その人の気持ちに興味があるように聞こえます。
こうして書けば小さなことですが、毎日顔をあわせて指導をすればどうなるでしょう?
ただ「聞く」だけだったら、録音機で十分です。
指導者に必要なのは「聴く」ことです。
モノではなく、人のことを「聴く」ようにすれば、コミュニケーションの取り方もおのずと変わってきますよね。
「聴く」ことが一流のコミュニケーションの第一歩なのです。
バドミントンはコートに立てば一人かもしれませんが、その日常はほとんどが人と人との関わり合いですよ。
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