どんなにポジティブな選手でも、たまには自信をなくして弱気になったりするものです。
そんなとき、どんな指導をしますか?
優しく励ましますか?
それとも、厳しく叱ってやる気を奮い立たせますか?
実は、励ましたり叱ったりするのは、「あること」をきちんとした後でこそ効果があるものなんです。
経験豊かなコーチでもその「あること」を忘れがちです。
それではストーリーをご覧ください。
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どんなにポジティブな選手でも、たまには自信をなくして弱気になったりするものです。
そんなとき、どんな指導をしますか?
優しく励ましますか?
それとも、厳しく叱ってやる気を奮い立たせますか?
実は、励ましたり叱ったりするのは、「あること」をきちんとした後でこそ効果があるものなんです。
経験豊かなコーチでもその「あること」を忘れがちです。
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生徒が一生懸命頑張っているのを見るのは気持ちのいいものだ。
それまで全く結果を出せなかったこの学校のバドミントン部も、岡崎が顧問になってから、徐々に結果を出せるようになってきた。
部員たちの練習を見ていると後ろから声がかかってきた。
2年の櫻井(さくらい)である。
「岡崎先生、ちょっとよろしいでしょうか。」
「櫻井か、どうした?」
「コンビを組んでいる山田先輩にいろいろ注文を出されるんですけど、うまくできないんです。もう、自信をなくしてしまって...」
櫻井は相手が先輩や先生でも、自分の言いたいことをハッキリ言うかなりの自信家だ。
その上3度のメシよりバドミントンが好き、という熱心さ。
それがこんなに自信をなくしているというのは珍しい。
「へぇ。そりゃ大変だな。で、具体的には何ができないんだ?」
「山田先輩の期待するプレイです。」
「どんな?」
「だから山田先輩の期待するプレイ全部です。」
「例えば?」
「うーん、そうですね・・・例えば・・・」
こんなやりとりが5回ほど続く。
岡崎は焦らず具体的にできないことを抜き出していく。
そして、10個ほどできないことが出たところでこんな質問をした。
「じゃあ、今、できていることは何?」
「いや、何もないですって。」
やれやれ。
完全に「できないモード」に入っているな。
そう感じた岡崎は、ほんの少しだけ質問を変えた。
「じゃあさ、もしほんのちょっとでもできていることがあるとしたら何?」
すると、櫻井の反応が変わった。
「うーん、たまにですけど先輩の動きにあわせてフォローをするとか。」
「他には?」
「うーん、あとは・・・」
こうして岡崎はまた10個ほどできることを抜き出した。
よしよし、何とか「できないモード」は抜け出せたな。
「もっともっとできることとできないことを抜き出してごらん。それができたら山田とどこから取り組めばいいか相談するんだ。全部直すのは難しくても、1つ1つだったらいけるだろ?」
「なんか自信がわいてきました。」
どこかスッキリした顔で練習に戻る櫻井を、満足げな笑顔で見送る岡崎であった。
ポイント
励ましたり叱ったりする前にやる「あること」はお分かりいただけましたでしょうか。
そう、「できていること」と「できていないこと」をしっかりと自覚してもらうことです。
自信をなくしているとき、人は本当の自分と向き合うことを恐れて、「できないモード」という逃げに入ってしまいます。
まずは逃げの世界に入ってしまった教え子の自信を取り戻すこと。
問題解決のスタートはそこからです。
さて、次に「できないモード」に入っていた櫻井くんがなぜ、「できること」をあげることができたのかを見てみましょう。
岡崎先生の2つの質問を見比べてみてください。
「今、できていることは何?」
「もしほんのちょっとでもできていることがあるとしたら何?」
ポイントは2つ。
1つは「もしできていることがあるとしたら」。
もう1つは「ほんの少しでも」。
こうすれば心の敷居はかなり下がります。
分かりますか?
一流コーチの本当の仕事は心からの励ましでも情熱あふれる叱咤でもありません。
2つの現状を見せ、本人による問題解決へのスタートラインに導くことなのです。
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